2020年08月15日

彼らは美しい狩人だった(ヘンリックとアルフレート)

装束の帽子から靴まで洒落たヘンリック。
端正な顔立ちで処刑隊の装束をまとうアルフレート。

二人とも「美しい」「洒落た」狩人といえるだろうが、だがその「美しさ」に秘められた理由は大きく異なっていた。

……という話です。
寡黙な狩人ヘンリックがやけに喋るし、アルフレートくんはイちゃってますがバグではなく仕様です。

仕様書通りですよ!

これはCPとかじゃなく各々別々のお話です。
CPではない! CPではない!





「二人の美しい男」

 ヘンリックはいつでも狩道具の手入れだけではなく、狩装束の手入れも怠らなかった。

 愛用のノコギリ鉈は丁重に研ぎ、ポーチに入れたスローイングナイフは落ちないようベルトを何重もの革で縫い繕っていた。
 狩りが終った後は血の痕や臭いが残らぬようよく洗い、皺の無いよう綺麗に乾燥させる。
 帽子につけた白い羽根飾りはとりわけ気を遣っており、血で濡れて使い物にならなくなった羽はすぐに捨てて取り替えられるよう予備として水鳥の羽を幾つか揃えている程だった。

 そして狩りに出る時はいつも心地よい匂いのする香水をつけて現れるのだった。
 ヘンリック曰く。

『たとえ獣となったとしても、元は人であったのだろう? それなら最後に見る人の姿は俺たち狩人の姿なのだろうから、最後に見る姿が見窄らしい姿であったとしたら、獣になったとしてもやり切れないだろう?』

 彼は死を与えるものとして、最大限の敬意をもってそれと対峙するため服も、帽子も、靴の先までもいつでも綺麗に磨いていたのだ。


 アルフレートは狩道具の手入れは勿論、狩装束の手入れを怠る事はなかった。

 普段使う石槌は大きく重く、獣を叩きつぶせば激しく血で汚れる。
 だが彼は血で汚れた石槌を、いつでもまるで新品のように綺麗に磨き上げていた。

 狩装束も勿論そうだ。
 灰色の装束は聖歌隊の装束より血の汚れは目立たないが、それでも他のものより色が薄いので染が残りやすい。
 それでもアルフレートは狩りのあと、血の染み一つ残さないよう綺麗に洗いいつでもその装束は新品のように丁重に扱われていた。
 アルフレートは言う。

『この装束は私にとって、輝きそのものなのです』

 と。

『尊敬するローゲリウス師が率い、その言葉に従ってカインハーストへ趣いた勇敢な処刑隊。その処刑隊の装束を、獣や血族の血で穢していいはずがありませんから』

 と。
 そして、穏やかな微笑みを浮かべてこう続けるのだ。

『いつか、アンナリーゼを前にした時、私はこの装束の指先もつま先も、身体の全てを血族が女王の血で汚す事でしょう。血の染一つない装束が、徐々に赤く染まっていく。その赤の全てが自らの血である……その痛みと恐怖に打ち震える女王アンナリーゼの絶望の視線を浴びながら、血に染まっていく装束を見せつけるために、いつでもこの装束を綺麗にしておくのです』

 それが、処刑隊の悲願でもあると信じて疑わない目を彼はしていた。

 ヘンリックとアルフレート。
 彼らはヤーナムで知られた狩人の中でも「洒落者」であったり「美しい」と呼ばれる狩人であった。
 だが二人が何故その装束を磨いていたのか。

 その理由は大きく違っていたという事を、知るものはあまりいない。
posted by 東吾 at 20:09| ブラボ