2020年06月24日

鳴き声まで愛して。(浅芝)

最近仮面ライダー龍騎ネタを描きたくて……。
というか芝浦淳ちゃん様を受けにした話が書きたくて書きたくてな……。(包み隠さない本性)

今回は暴力的な愛情表現しか知らない浅倉に、芝浦くんが目をつけられて誘拐される話です。
気が向いたら続きをかく事でしょう……。

特に暴力しかしてないけど愛だよ。愛。
愛かぁ……。





「殴るのに丁度良い玩具」


 世の中、金があれば大概の悪事はうやむやにする事が出来る。
 反面、金や道理といった理屈が一切通じない輩も確かに存在する。

 その日芝浦淳に絡んできた男たちは、後者の方だった。
 元より箱入りで育てられ、誰に対しても生意気に振る舞う芝浦の態度が許されていたのは、彼の金払いが良いからに他ならず、彼のそういった部分に価値を見いだせない相手にとって芝浦淳という男はただ「世間知らずの生意気なガキ」だったのだ。

「ぐはっ……あっ……ぁ……」

 今日何度目かもわからない蹴りをまともに腹に受ける。
 口の中が切れ、酸っぱい液体が逆流してくる。
 すでに吐けるものは全て吐いたので、仕方なく唾を吐けばその態度が気に触ったのか、男は芝浦の頬を強かに打ち据えた。

「うっ……ぁ……」

 かすかに盛らす喘ぎ声に、男たちは笑って見せる。
 すっかり抵抗する気も失せ、意識が朦朧とする中、今日護衛をつけずに一人で出歩いたのは失敗だったかとか、連絡を絶っているのだから助けが来るだろうかとか、そんな甘い事を考えながらただ暴力に耐えていた。
 だが一体、いつになったらこの暴力の嵐から抜け出る事が出来るのだろう。
 身体に力は入らず、意識もハッキリとしない中、自分の限界を感じ始めていた芝浦の目の前に、蛇革のジャケットを着た長髪の男が乱入してきたのはその時だった。

 男は乱暴な蹴りと手にした鉄パイプで、それまで芝浦に暴力の限りをつくしていた男たちを徹底的に痛め付ける。
 殴り、蹴り、鉄パイプでさらに身体を打ち据えて動かなくなった男を前に。

「なんだ、もう終わりか?」

 にやりと笑って唾を吐きかける姿を見た時は、救世主だと思った。
 突然現れた蛇革のジャケットを着た男は、たちまち男たちをたたき伏せると芝浦の方を見据えた。

「あ……ありがと。アンタ、助けてくれたんだな……」

 崩れ落ちそうになる身体を何とか支えながら立ち上がるが、すっかり痛め付けられた足では身体が支えきれなかった。

「っ……ぁっ……」

 よろける芝浦の身体を、突如現れた蛇革のジャケットを着た男は優しく支えてみせる。
 そして芝浦の頬に触れると、満足そうに笑って見せた。

「……助けた? 違うな」
「えっ?」
「……お前が殴られ、痛め付けられている声が『たまらなく』良かったからな……俺の手で『鳴かせて』みたい。そう思っただけだ……」

 何を言ってるんだろう。
 芝浦がそれを認識するより先に、男は芝浦の首をつかむと強引に引きずった。

「痛い、痛いッ、痛い痛い痛い、やめろ!」
「……そう、その声だ。お前は痛みや恐れになれてない、酷く初心で鈍感な声……その声がそそるんだ。お前、名前は?」

 首を捕まれたまま壁に押しつけられ呼吸を止められる中、辛うじて。

「芝浦っ……芝浦、淳……」

 と、名前を告げれば男は満足そうに手を放し、その場に崩れ落ちる芝浦の頭を踏みにじる。

「俺は浅倉威。これからおまえの『飼い主』になってやるから、存分に鳴いて、啼いて、泣きわめいて俺を喜ばせろ。いいな?」

 蛇革のジャケットを着た男は、まさしく蛇のように口を開けうっすら笑う。
 その目に、その牙に、すでに囚われた自分はもう逃れられないのだろうと悟る。

「何だよ……お前ばっかり面白い思いして……ズルイよなぁ……いつもさ……」

 意識を失う前、芝浦はぽつりとそう呟いた。
 いつか、以前にもこんな風にこの男には「いいようにされた」ような気がして、ただそれが悔しかったのだ。
posted by 東吾 at 16:41| 龍騎とか