2020年06月20日

昼下がりの占い師と大学生のランチデート(手芝)

恋人同士みたいになっている平和な世界の手塚と芝浦です。
今回は二人でランチデートみたいなのをする話。

最初は友情で書いていたつもりでしたが、もう隠す事なくCPでかてますね。
これはもう抱いてますね。絶対抱いてます。

そんな事を思いながら今日も元気に発酵するのでありました。(作文)





「遅い昼食」

 人の流れが耐えぬ東京でも、波のように人の姿が引いていく時間がある。
 それがちょうど、会社の昼休みが終る頃合いだった。

「今日は思ったより人が入らなかったな……」

 掲げた占いの看板をしまい、手塚はゆるりと立ち上がる。
 人との対話を商売とする手塚にとって、会社員の休憩時間は稼ぎ時であるためいつも遅めの昼食をとるのだ。

「よ、手塚ァー。やけにシブい顔してるけど、今日は客入りが少なかったってトコかな〜?」

 そんな手塚を、聞き慣れた声が呼び止める。
 振り返ればシャツにチノパンとラフな姿をした芝浦が笑いながら紙袋をぶら下げていた。

「何だ、冷やかしにきたのか? 今日は店じまいだ。昼飯の時間だからな」
「いやいや、別に冷やかしに来た訳じゃ……ま、ちょっとはあるけど。ただ、ほら。いつもおまえ、昼飯遅いだろ? だから一緒に食べれるかなーと思って。ホラ」

 芝浦はそう言いながら紙袋を押しつける。
 中身は有名なサンドウィッチ店のサンドウィッチだった。手塚好みの海老とアボガドがたっぷり入ったサンドウィッチを前にして、わざわざ断る理由もない。

「わかった、近くの公園でいいか? ……珈琲くらいおごるぞ」
「マジで? 悪いねー。じゃ、コーヒー、ミルクとガムシロ二つで!」

 二人は並んで歩くと、すぐ傍にある公園のベンチに腰を下ろした。
 手塚はハーブティーを、芝浦は注文通りミルクとガムシロを二つ入れたアイスコーヒーを横にサンドウィッチを食べ始める。

「……んー、この店ってトッピングが自由だから嫌いなモン入れなくていいのがいいよな」
「それにしても偏食が過ぎないか、芝浦。野菜少なすぎだぞ」
「別にいいじゃーん、俺の自由だし。手塚そういうのうるさいのな……大体、手塚もあの店いくとトッピングだいたいソレだろ。ソレだって栄養偏ってんじゃないのかなー?」

 芝浦は頬を膨らませ、手塚の食べてるサンドウィッチを指さす。
 確かにいつも海老とアボガドにサニーレタスとオニオン、ドレッシングはサウザンアイランドばかり食べているのだから、人の事は言えない。結局のところ、芝浦も手塚も結構偏食なのだった。

「さて、ごちそーさまっと」

 芝浦は自分のサンドウィッチを食べ終わると、すぐにスマホを取り出す。

「……芝浦、何だそれは」
「あ、最近ハマってるアプリのゲームがあるんだよね〜。ちょっと戦略も必用で面白いんだ。手塚もDLする? ってか手塚、まだガラケーだっけ?」

 手塚は無意識に芝浦の手を引くと、ぐっと顔を近づけた。

「……俺と一緒の時は、俺を見てろ」

 そして自然と、そんな言葉が出る。
 突然迫られた芝浦は、暫く呆けたような顔をするが、急に耳まで赤くすると。

「て、手塚さぁ! 普段あんまり俺のする事気にしてないような素振り見せてるくせに、時々ドキッとするような事するよな!? そーいうの、ずるいから!」

 慌てて鞄にスマホをしまうと、芝浦はじっと手塚を見る。
 改めて芝浦にそう言われ、自分の独占欲を露わにしたような気はずかしさから手塚はつい視線をはずし。「いい天気だな」なんて、当たり障りのない言葉で誤魔化すのだった。

「それより、芝浦。大学の授業はいいのか?」

 時刻は2時を過ぎようとしていた。
 昼には遅い時間帯だが、大学生がフラフラ歩いている時間帯とも思えない。
 だが芝浦は甘いコーヒーを飲み余裕の笑みを浮かべた。

「それなんだけどさ、俺今季授業の時間が結構空けてとっちゃってさ。ちょうどあと1時間くらい暇なんだよね」
「そうなのか……」
「そうなんだよ。だから、雨が降ってなかったら毎週手塚と飯が食えるって訳だ」

 と、そこで少し慌てた素振りを見せる。

「あ、でも手塚が迷惑だっていうなら無理にとは言わないし、普通に学食で飯にするけどさ。良かったらどうかなーって……どうかな?」

 恥ずかしそうに頬を染め、慌てる芝浦は愛らしい。
 いつも生意気な芝浦だが、ことに恋愛に関してはやけに初々しい姿を見せる事があり、その姿を見るのが手塚は好きだった。

「……わかった。店を出してる時はいつでも待ってるからな」
「マジで? やったぁ!」

 芝浦はうれしさから、手塚の身体に抱きついてくる。
 食べかけのサンドウィッチを落としそうになりながら、抱きついた芝浦の頭を撫でると。

「……お前だって酷くこっちをドキッとさせる天才だな」

 微かに微笑みながら、芝浦の肩を優しく抱き寄せる。

 初夏の風が心地よく吹き付ける。
 二人の遅い昼食は、おおむね穏やかに過ぎていった。
posted by 東吾 at 19:39| 龍騎とか