2020年06月16日

この占いはあたるのだろうか(てづしば・りゅうきネタ)

最近は龍騎、手塚×芝浦を書く事が多いですね……。
こう、書いてみたら手が馴染むというか、何となく書けてしまう二人の話。

今回は「親友が死んでから人と距離を置いていたと思った手塚が、芝浦に距離をつめられていたのに気付いた日」の話です。

キミの占いは当たる。
当たっちゃうんだよなぁ〜。

甘酸っぱい感じになってればいいね。





「そんな未来はウソなのだ」


「よぉ、占い師さんっ! 占ってくれよ」

 そう言いながらスツールに腰掛けたのは、見知った顔の男だった。
 名前は芝浦淳。
 以前、占いをしてやったらそれが的中したらしくそれから一方的に懐かれてしまったのだ。

 とはいえ、料金はキッチリ払うし仕事の邪魔をする訳ではない。
 良い常連といってもいいだろう。

「いいだろう、ちょうど時間が空いたところだし、お前は上客だからな」

 手塚はコインを手に取りながらそう告げれば、芝浦は不服そうに頬を膨らませる。

「またそう言う−、俺と手塚は、ただの客とかじゃなくてトモダチだろー? それとも、俺が勝手に思ってるだけ? だったら結構ショックなんだけど……」

 友達。
 その言葉を聞いて、手塚は虚を突かれたような顔をする。

 考えてみれば親友が死んでから、手塚は深い交友関係を拒んでいるフシがあった。
 友達という程深い関係性を築くのを恐れて、誰とも一定の距離をとろうとしていたつもりだったのだが……。
 いつの間にか芝浦は、自分の作っていた壁を勝手に乗り越えて入って来ていたらしい。

 確かに芝浦の言う通り、今の手塚にとって芝浦はただの客以上の存在と言えただろう。
 一緒に食事を食べる事もあれば、芝浦が家に遊びに来る事も増えている。

『今日はJOJOの格ゲー一緒にやろうぜ? って、手塚、JOJO知らないのかよ! ……俺が全部貸してやるから、絶対面白いから! 絶対ハマるって!』

 そんな事を言われ翌日に全巻買ってもってきた時は驚いたが、それから手塚もすっかりJOJOにハマり今では時々「どのスタンドが一番強いのか」とか、「DIOの時間を止める能力、ナイフが途中で止ったりするのはどうなっているんだ」とか、そんな下らない話で盛り上がったりしているのだ。

 傍から見ればすでにこれはただの客ではなく、友達なのだろう。

「……そうだな、芝浦を客というのは……違和感があるか」
「そーそ、友達が妥当じゃね。という訳で、今日はその友達の運勢占ってくれよ。これから俺がどうなるかーって……手塚、そういうの得意だろ?」
「あぁ、わかった」

 手塚はいつも通り、コインを指で弾く。
 一度では真実は見えてこない、二度、三度と指で弾いて出た結果は……。

「……!?」
「おい、どうした手塚っ。何か、思ったより悪い奴とか出ちゃった系?」
「あ、いや……これは、どうなんだろうな……」

 手塚がヘンに言葉を濁したものだから、芝浦は不安そうに顔をのぞき込む。

「まさか、メチャクチャ悪かったのかよ!? ……えっ? 病気とか事故とか……マジで? やだって俺まだ若いから死にたくないって……」

 狼狽える芝浦の肩を叩いて、そうじゃないと落ち着かせる。

「いや、悪い事じゃないんだ。少し、俺にとって意外な結果だったから……芝浦にとって良い事かわからないが、人間関係に変化がいくつかある」
「あ、そうなんだ? って言っても俺、知らない大人とか結構付き合いあるからなー……」
「近しい人と親密になる、という事だ。それをお前も望んでるようだから、まぁ、幸せにな……」
「えっ!? マジで? 近しい人? あー誰だろ? 全然っわかんねぇ……んー……ま、でもいい事だよなそれって。はは、ちょっと楽しみになってきた。ありがとな、手塚! ……飯でも食いにいくか?」
「そうだな」
「じゃ、俺先に行ってる! いつもの喫茶店でいいよな」
「あぁ……」

 手塚は先に走る芝浦を見ながら、簡素な店を畳む。

 コインが出した「未来」は「友人」との「肉体関係」を示す結果だった。
 芝浦に自分以外の友人がいるのだとしたら別の話だが、その「友人」が自分だとしたら……そういう事は、あり得るのだろうか。確かに自分にとって芝浦は、ただの客ではなく友人であり、親友を失ってから人を拒んでいた手塚にとって久しぶりの友人と呼べる存在だが……。

「……いや、考えすぎか。芝浦は俺と違って友人も多いだろうからな」

 手塚は赤くなる耳をおさえ、ゆっくりと歩き出す。
 彼の占いが「当たっていた」事をしるのは、それから一週間ばかりたった頃になるのだが、それはまた別の話……。
posted by 東吾 at 10:05| 龍騎とか