2020年05月29日

暗黒騎士レベル50になりましたぞいSS(暗黒50レベルネタバレあり)

シェヴァ(俺ヒカセン)が暗黒騎士レベル50に達したので記念にSSを投下します。
暗黒騎士レベル50クエストのネタバレをするためのSSなので暗黒騎士をこれからやるって人は見ないでね!

かなしいはなしだったね……。(?)

俺ヒカセンの設定も一応おいておきます!


<俺ヒカセン設定>

シェヴァ / オスッテ / 21歳

 小さな島で育った褐色白髪のオスッテ。年齢の21歳は自称なので実年齢は不明瞭。
 天真爛漫で何でも首を突っ込むので行動全体がアホの子っぽい。実際アホの子。
 動いているものを見るとよく追いかけているらしい。
 ふわふわの生き物とオスラが好き。






「幽玄の笑み」

 ……本当は最初から分かっていた、そうなんじゃないかな、って。

「わかりますか? 僕はキミの中にある、辛さ、苦しさ、悲しみ。そういった悲痛な気持ちそのものなんですよ」

 目の前に「自分と同じ顔」が現れてもさして驚かなかったのは、彼の歩んできた道が、彼の見せてきた世界が、「自分の見てきたもの」と同じだったからだろう。
 そして彼に触れるたびに溢れ出てくる言葉が、近くて、だからこそ遠くに思えたのはそう、それが他ならぬシェヴァ自身が「心のどこかで思っていたこと」だけど、英雄と呼ばれて。力を得て。剣を持たない誰かを守るだけの力をもっていて、なおかつ自分のために誰かが犠牲になった事も知っていたから、無意識に封じていた心。

 弱さ。

「……わかるよ」

 フレイという名の身体を借りて、その知識から学んだ暗黒騎士の技術(わざ)を自分自身に向ける。

「自分の事だもんね」

 シェヴァは、ほとんど無意識に笑っていた。
 構えた剣は暗黒の力がどれほど宿っていたのだろうか。向ってくる「負の具現化」であるもう一人の自分は、その笑顔に何を見出したのだろうか。

「わかるよ、わかる。わかる……自分の事だもん。辛い事、嫌な事、痛い事、怖いこと。喪って、悲しいこと。色々あったし、きっとこれからもそういう事は続くんだろうって思って、苦しい事を見ないようにしてきた。無意識に、そういうの忘れようとしてきて、キミに全部押しつけた……」

 互いに剣を交える最中、シェヴァの中に幾つもの言葉が流れこんでくる。

 痛いなぁ……流石にもう限界かもしれない……。
 ……毒? なんで。誰かのために戦ってたのにどうして毒なんか盛られるんだろう?
 ただ困ってる人を助けたいだけなのに、目の前の大事な人を助けられないんだもんなぁ……。
 どうしておれなんかのために、死んでいいみたいな顔するんだよみんな!
 やだよ。やだ……。

 一人に……しないで……。

 シェヴァの鋭い一撃で、もう一人の自分が手にした漆黒の刃は空に舞う。

「……強いですね、やっぱり」

 負の心。
 自分の中にある弱い心なのだから、強くあろうとする心をもった「英雄」には最初から叶わないと、そう思っていたのだろう。
 元より、自分の心が分かたれた存在なのだから、それだけ弱くもなり、成長もないのだ。

「英雄さま、頑張って!」「シェヴァさん、がんばって!」

 シェヴァの後ろで、数多の声が響く。
 みなが「英雄」の勝利を願い、またシェヴァに助けられ、感謝の心をもっての暖かい言葉だった。

「……すべて、貴方のものです。英雄であるあなたの」

 そして、英雄である貴方に、僕は必用ない。
 闇の中から響く声を、シェヴァは自然と抱きしめていた。

「!? ……ダメです。僕はあなたの、あなたの……英雄になれない部分だ」
「そんなことは、ないよ?」

 ……辛い気持ち、悲しい気持ち、苦しい気持ちである「きみ」一人に押しつけてしまったけど。

 辛い時、支えてくれる優しい人がいてくれた。
 どんな時でも信じてくれて、一緒に生きようとしてくれた盟友(とも)がいた。
 帰ってきたと思える場所があり、そこで待っていてくれる仲間がいた。

「……そういう大切なものをキミには与えないで、キミだけを突き放す訳にはいかないよ。キミにも、知ってもらわないといけないもの」

 一人じゃなかった、盟友がいた。仲間がいた。待っていてくれる人がいた。
 沢山の人たちの声があった。それは優しい声ばかりではなく、卑怯な策略に巻き込まれた事もあったけれども、その中でさえ信じてくれる誰かがいて、頼ってくれる手があって、前に進む事が出来ていたから。

「……だから、キミと歩んで行きたい。辛くて苦しくて泣き叫びたくなるような時、そんな自分がいるということ。おれは、忘れたくもないし、無くしたくもないから」

 それまでシェヴァの形をした「それ」が、シェヴァの中へと融けていく。
 そうしてシェヴァの前に現れた「英雄の残影」は、本来あるべき場所へと還っていった。

 剣劇は終わりを告げ、「フレイ」であったものは死に、その遺体は手厚く弔われるとだけ聞かされる。

 そのとき英雄と呼ばれた男は、微かに笑うだけだった。
posted by 東吾 at 05:22| FF14