2020年04月28日

眠れないキマリスとアガレスの話。

キマリスのイベント良かったですね!
という訳で今回のキマリスイベントの前日談を妄想しました。

なにげにアガレスのウンメーという話もしていたので、キマリスとアガレスの話です。
ンまぁどうぞ!





「キマリスの運命」

 星が落ちてきそうなほどに瞬いていた夜だった。
 キマリスは一人野営地から離れると、その場に寝そべり星を見る。

 ……何となく、嫌な夢を見ていた気がする。
 その夢を覚えていないのだが、悔しいような口惜しいような、心が締め付けられるように苦しくなる夢だった。
 驚いて目を覚ましたらまだ夜で、だがまた寝ると同じ夢を見てしまいそうだったから何となくテントから抜け出したのだ。

 星が波線を描き、空から時たま降ってくる。
 流れ星だというのを、以前ブエルから聞いた。
 流れ星に3つ願い事を言うと願いが叶うのだとも言っていたが、流れ星は3つも願い事を言うにはあまりにも早く消えてしまっていた。

 だがもし願いがあるとしたら、何がいいだろうか。
 おいしいものを一杯食べたい? 街へ行って沢山遊びたい? それとも……。

 ……力が欲しい?
 あの時守れなかった父と母を助けるだけの力を。恩人でもあるオンジを救えるだけの力を……。

「……今日は星がよく落ちる日だな」

 気付いた時、キマリスのすぐ隣にアガレスが座っていた。
 キマリスと同じように、星を見ている。

「アガレス? いつからいたのだ」
「今来たばかりだ。今日は星がよく見えるからな……」

 アガレスはそう告げると、空を仰ぎ星を凝視する。
 そしてそれぞれの位置を確認し 「方向、状態、異常はないようだな」 そう独り呟いていた。

 キマリスも詳しい事はわからないが、アガレスは星詠みをする一族の出身だという。
 星は季節により場所がかわるが基本的に軌道は変わらず、中には同じ場所から動かない星もあるため冒険の道しるべに丁度いいという事もあり、アガレスはしばしば星を見て自分たちの旅が路から外れていないかを確認するのだという。

「アガレスも大変だな、星を見るために起きてきたのか?」

 キマリスはのそりと起き上がると、身体についた草を払う。
 身体から土の香りが僅かにたちのぼっていた。

「私は己の宿命として星を見ているからな。別に苦痛ではない」
「それは、アガレスがいう【ウンメー】だからか?」

 キマリスの問いかけに、アガレスは虚を突かれたような顔をした。かと思うと優しく笑う。

「運命、という言葉を覚えていたのか」
「あぁ、キマリスはかしこいからな! アガレスがよくウンメイとともにある事、キマリスはちゃんと知っているぞ!」
「そうか。だがこれは運命からではない。自分の意志でやっている……日課、といった所だろうな」
「そうか、それならばアガレスのいうウンメイとは何なのだ?」

 アガレスは星を見たまま、1度だけ大きく呼吸を整える。
 そして変わらぬ何処か優しい表情を、キマリスへと向けた。

「運命とは、過去から決まっていたこと。星の動きが変わらぬように、動きを変えぬ決められたこと……」
「きめられたこと、か?」
「……だが、時に抗う意味のある事でもある。例え……例え変えられないと解っていたとしても、その未来が受け入れがたいものであるのならば、抗い、足掻き、そうすることで僅かにでも残された結果に変化があったとしたら、それもまた運命だからな」

 キマリスは胡座をかいて、口を尖らせる。

「むぅ、アガレスの言う事はいつも難しいのだ」
「そうか。だが、キマリス。お前は強い故にいずれ、その時が来たら運命とはかくあるものだとわかるはずだ」
「そうだ、キマリスは強いのだ! ……わかった。ウンメイが何かはわからないが、いずれわかる時にはキマリスにもわかるのだな! それならわかった!」

 そう、あの時はそんな事を言って、そのままテントに戻って眠ってしまった。
 だが今のキマリスには解る。

 今こそ「ウンメイ」が決まる時であり、逃れてはいけない時だ。

「……見ててくれ、キマリスは強いのだ。オンジ、父、母……この島を再生し、呪いの連鎖を断ち切るのだ!」

 眼前に迫るは巨躯の幻獣。
 身体にカビを這わせ、すでに死しても災厄をまき散らそうとする化け物で、キマリスの生まれ故郷である島を「呪いの島」にした要因の一つともいえよう。

 キマリスは槍をとり、その獣へと立ち向かう。
 あの時はわからなかった、アガレスの言葉が身体中を掛けめぐる。

 運命とはそう、その時が来たらわかるもの。
 キマリスの運命はきっとそう、自分を守るために逃がした父と母に死すら与えないこの島に蔓延る呪いから解放し、再生の炎をあげるため……。

「いくぞ、召喚者!」

 キマリスは戦場を駆る。
 その血は躍動し、身体に溢れる力はまさに「運命」を体現しているかのようだった。
posted by 東吾 at 20:29| メギド72系駄文