2020年03月23日

結婚したいヤマと出来ないアル。(ヤマアルBL)

アルフレートくんは結婚しないだろうね。
過去に本気で愛した人がいたかもよくわからないけど、何となく「本気になった」のはロー師の言葉が最初っぽいよね……。

なんて思いながら書きました。
元はTwitterのpostで、ヤマアル書きたい欲を発散させようとpostしたんですが発散しきれなかったのでちょっと長くしてみました。

のびーーーーーーーーーる!
言うほど伸びてない。(?)

ヤマとアルの概念を今年もどんどん吸って元気になろうな!



「その口づけは嘘の味」

 ベッドの中、二人は肌を重ね互いの「生」を貪るようにお互いの身体を抱く。
 いつ死ぬかもわからない「狩人」という生業が。
 路地裏を走り追い詰めた獣を狩り浴びた血のもたらした昂揚が、二人の性欲を頗る高めていた。

 死を覚悟した肉体は種を残す本能から性欲が強くなるものだ。
 与太話としてヘンリックがそんな事を語っていたが、あながち嘘でもないのだろう。

 未だかつて無いほど高まる欲望を思う存分ぶつけ合った後、すっかり疲れ果てた二人はベッドに沈むように横になる。
 だがベッドがやや狭いのに気付き、自然と向き合い抱き合う形になっていた。

「なぁ、アルフレート」

 額をつけたまま、ヤマムラは言う。

「もし、許してくれるのなら……結婚してくれないか、この俺と」

 突然の言葉に、アルフレートは困惑した。
 アルフレートにとって、ヤマムラは特別な存在だった。

 抱かれても嫌な気が一切しない。
 いつでも優しく、アルフレートの事を見守ってくれている。

 カインハーストを探すなんて所行さえも馬鹿にせず、いつでも自分の話を真面目に聞いてくれているし、ローゲリウス師の言葉だって否定する事はない。

 今まであった事のないタイプの人間であり、だからこそ絆された相手でもあった。

「何言ってるんですか……結婚とか……私、男ですよ?」
「分かってるさ。だが今更だろうそんな事……君も、俺も、狩人なんて正気じゃない仕事をマトモな顔してやってるンだ。ネジが外れた奴らだと後ろ指さされても仕方ないような俺たちだから、男同士でも何でも結婚したって別にいいだろう?」
「それはそうかもしれませんけど……でも、それを言ったら今の私たちは、もう結婚しているようなものじゃ無いんですか?」

 二人は今、同じ宿で暮していた。
 同じ部屋に帰ってきて、いつも二人で食事をし、抱く相手はお互いだけ。
 休む時は二人で出かけるし、買い物だって概ね二人で相談しながらする。

 普通の生活とは無縁だったから結婚のイメージが今ひとつ沸かないアルフレートであったが、今の生活が彼の理想とする「結婚生活」に近いという事は何となくわかっていた。

「確かにそうだ、君との今の生活は結婚生活に近いかもしれない。けれども……俺が欲しいのは『証』なんだ」
「証……ですか?」
「あぁ……そう、君が俺の伴侶であり、俺は君の伴侶である。その証が欲しいんだ。ただ、記憶だけしか存在しないのではなく、形あるものとして残しておきたい、というと……分かるか?」

 それはきっと、お揃いの指輪であったりペンダントであったり、羊皮紙に刻まれた誓いの文言だったりするのだろう。
 勿論、アルフレートだってそれを望んでいる。

 ヤマムラの指に自分とそろいの指輪がはめられていたら、どれだけ嬉しいだろう。
 指輪が叶わなくても、そろいのペンダントがあればどれだけ心強いだろう。

 だが同時に思うのだ。
 それをしてしまったら、自分は「人間」アルフレートとして生きていたくなってしまうと。
 そうなったらもう処刑隊ではいられないのだと。

「ふふ……考えておきますよ。そうですね……私がカインハーストから戻ってきたら、二人の証を考えましょう」

 アルフレートは曖昧に笑い、その言葉をはぐらかす。

 出来る訳がないのだ。
 アルフレートにとって、ヤマムラに対する愛情は本物だ。
 だが彼にとってローゲリウス師の言葉もまた本物の言葉なのだから。

「そう、か。帰ってきたらか……」
「えぇ、帰ってきたら……」

 アルフレートは曖昧に笑い、今はこれが証だと口づけを交わす。
 その口づけは嘘の味だと知りながら。それでもアルフレートは、そうする事しか出来ないのだった。
posted by 東吾 at 09:25| 未選択