2020年02月16日

堕天作戦/甘味追憶(堕天作戦の現パロだよ!)

バレンタインデーなので、現パロ堕天作戦でレコベルがお世話になっているシバのためチョコレートを作るお話です。
アンダーとレコベルが出るほのぼの日常話だよ!

・ちょっと現代みたいな世界の話だよ
・大学生レコベルはシバ先生の授業を受けているよ
・アンダーとレコベルが同居しているよ
・アンダーとレコベルは恋愛というよりバディみたいな関係だよ。


今回はチョコレート作るだけのはなし。
バレンタインだけど恋愛っぽい話にしたくなかったので特に恋愛っぽい話じゃないです。
(ないです!)




「堕天作戦 / 甘味追憶」


 レコベルはうーんと呻りながら、レシピ本と睨めっこしていた。
 表紙には色鮮やかにラッピングされたチョコレートが書かれている本だ。

「レコベル、どうしたんだそれ」
「あ、アンダー。実はですね、最近この時期にお世話になったヒトにチョコレートを渡すという行事が大学で流行っているんですよ」
「チョコレート……って、あの随分と甘いお菓子か」
「本当は好きなヒトにあげるみたいですけど、私はそんなヒトいないから、お世話になっているシバ先生にあげようかな、と思って。どうせなら手作りでーと思ったんですけど、美味しそうなのがいっぱいあって決められないんですよね」

 レコベルはそういいながら、その本を広げる。
 チョコレートクッキー、チョコレート大福、生チョコ、ブラウニー……。
 見て居るだけでカカオの香りが漂ってくるような本だ。

「どれもおいしそうで……」
「キミが食べる訳でもないだろ?」
「そうなんですけど……でも、どれも難しそうに見えて、どうしようかなって」

 どうやら選べず悩んでいるらしい。
 アンダーはぱらぱらとページをめくり、材料や手順などを眺めながら。

「これなんか、美味しそうじゃないか?」

 そう言って、ガトーショコラを指さした。
 全体的に難易度の高いレシピが多い中、これなら自分が手伝えば出来そうだと思ったからだ。

「ガトーショコラ……チョコレートのケーキですね! 美味しそうですから早速挑戦してみましょう!」

 それから大騒ぎだった。
 チョコを刻んで、湯煎して。メレンゲ作りは力作業になるからアンダーが率先してやった。
 オーブンを温めて、手際がよくないと出来ない作業ばかりだが。

「ぴったりお砂糖! ぴったり薄力粉!」

 元々科学者気質のレコベルには、「適量」「お好みで」といった普段の家庭料理より何でもキッチリ決まっているお菓子作りのほうが楽しいようだった。

「できました! ふふ、あとはあら熱をとって冷やして、明日シバ教授にもっていってあげますね!」

 できあがり予定時間は90分となっていたが、始めたのが正午で終ったのは夜になっていただろう。
 だが二人で「あぁでもない」「こうでもない」「これは自分がやる」「だったらこれは私が」とアレコレ試行錯誤しながら作るお菓子というのは様々な感覚が鈍いアンダーでも「楽しい」という気持ちになっていた。
 出来上がるまで「味見」という名のつまみ食いが随分多かったから思ったより出来上がりの分量が減ってしまったが、それでも見栄えも味も予想以上になった。
 シヴァ先生とやらも、きっと喜ぶことだろう。

「これを、綺麗にラッピングして……明日が楽しみですね! シバ先生が喜んでくれたら、アンダーにも報告します! あ、アンダーが作った事も言わないと……メレンゲ作り、ありがとうございました!」
「いや、俺の力がこういう風に役に立つならイヤな気はしないよ……というか、お菓子作りって体力いるんだな。腕がまだ痛い気がするよ」

 普段使わない筋肉を使ったからだろう。
 腕はまだジンジンと痺れている。

「そうなんですか。筋肉痛、不死者でも出るんですね」
「痛みなんて摩耗してると思ったけど、出るもんだな」

 だが不思議と「イヤな痛み」ではない。
 楽しい事が沢山あった痛みだったからだろう。

 結局その日はチョコレートのつまみ食いと甘い匂いでお腹いっぱいになっていたから、お菓子作りの思わぬ疲れもあり二人とも早々に寝てしまった。

 翌日。
 目覚めればすでにレコベルの姿はない。
 今日の授業は早い授業だったのだろう。昨日準備しておいた「シバ先生用のプレゼント」はなくなっているから、忘れずにもっていけたようだ。
 と同時に、テーブルの上に書き置きがおいてあるのに気付く。

『アンダーへ
 昨日、お手伝いしてくれたお礼にガトーショコラをアンダーの分も準備しました!
 朝ご飯代わりに食べてくださいね。冷蔵庫に入ってますよー。

 レコベルより』

 書き置きにはそう書かれている。
 昨日散々チョコレートの匂いを嗅いで一年分のチョコレートを食べたような気がしたが。

「……ん、おいしい」

 一口食べてみれば、甘くしっとりとしたガトーショコラの味が広がっていく。
 感情も、痛みも摩耗していると思ったが、この甘みを感じるのはきっと昨日が楽しい日だったからだろう。

 アンダーは静かに目を閉じると、今はその「甘み」を感じられる事に感謝した。
posted by 東吾 at 07:33| 妄想系ネタ駄文