2020年02月13日

ミラプリする小隊たち。

武具投影でもりあがる小隊メンバーの中でひっそり絆を深めるオスラッテ!
オスラッテですよ−!

基本的にオスラッテなんですけど、わりと小隊のメンバーを個性的に書くのが好きなのでワイワイした感じになります。
オスラッテはいいぞい。


<登場人物紹介>

・シェヴァ
 小隊の隊長で俺ヒカセン。
 褐色白髪のオスッテ。天真爛漫でいつもフラフラしている。
 エルチに対する気持ちは……?

・エルチ
 小隊の槍術士で金髪碧眼青肌オスラ。顔がとてもいい。
 一目惚れしたシェヴァをずっと好きでいる一途な男。

・その他の愉快な仲間たち
 エルチの恋心を知っていたり知らなかったりしてワチャワチャしている愉快な仲間たち。
 小隊全員仲良しですぞ。

エルチの恋の行方をお楽しみください!



「たまには気分を変えて」


「武具投影?」

 聞き慣れない言葉に、小隊の面々は皆首を傾げるばかりだった。

「えぇっと、武具投影ってのはー、ミラージュプリズムっていうのをつかってー、装備を、鎧とかと同じ強さのまま、カッコイイ服とかに見せられる……そういう魔法技術? みたいなやつだよ」

 この小隊の隊長、シェヴァは動きを交えながら説明するが、やはり皆ピンと来ない。
 鎧を着ているというのに、見た目が変わる……という利点が理解できないのだろう。

「それって、動きやすさは鎧の時と変わらないの、たいちょー?」
「どういう見た目に変えられるんだ? おじさんは、あんまり若い服は無理だぜ」

 好奇心旺盛なミコッテ族であるオア・ネルハーやデ・フルは興味津々に色々聞いてるが。

「それは……身体に害はないのでしょうか……」

 どちらかといえば保守的なアウラであるアワユキは、不安そうな表情で周囲を伺っていた。
 そうして様子を伺うエルチも、どちらかといえば保守的なアウラだ。

「武具投影か……」

 エルチはそう呟き、悩むように声をあげる。
 慣れない技術に対しての警戒心があるのもそうだったが、槍術一辺倒で着飾るという事に縁がなかったためファッションというものに疎く、普段から小隊で支給されている武具を身につけて生活しているため急に「お洒落な服が着られる」といってもすぐにお洒落な服が思いつかないというのもあった。
 流石に街に出る時は鎧という訳にもいかないだろうと、同居人のベクテルに言われリムサ・ロミンサを歩いても不審ではないような普段着ももってはいるが、数着を着回して何とか日々を過ごしているという「服なんて着られれればいいだろう」といった所がエルチにはある。
 わざわざ武器の見た目を変えなくても……とは思うのだが。

「とにかく、使ってみればわかるって! ……みんなの装備、随分といい奴が支給されているから大概の服は着られると思うし! おれ、みんなに似合いそうな服を見繕ってきたからさ。気に入らなかったら、いつもの服に戻すから……」

 隊長であるシェヴァがわざわざ小隊のために選んできたのだと、そう言われるとエルチは弱い。
 彼は密かに隊長・シェヴァに恋心を抱いており、隊長が喜ぶ姿を見るのが今一番の楽しみだったのからだ。
 かくして隊長の熱いプッシュに絆され、隊員たちは初めての武具投影に挑戦してみたのだが。

「わぁ、この服カッコイイっ! あたし、コレ! 隊長あたしコレを……この色に染めて!」
「……あ、あの。私、このスカートを……この色にして頂けますか?」

 初めてみたら楽しくなったのだろう。オア・ネルハーとアワユキはあれこれと隊長に注文をつけ始める。
 二人とも可愛い服というものには興味津々な年頃なのだから当然といえば当然だろう。

「おじさん、この帽子気に入っちゃったなァ〜。普段兜はつけてないけど、この帽子をつける事は出来る?」

 デ・フルはカウボーイのようなつばの広い帽子を被り、ご満悦だ。
 自分と同様、アウラ族でファッションには疎いと思っていたベクテルも。

「シャツのほうがラクでよさそうだな……どうだ、ナナソミ?」
「あー、ベクテルさんカッコイイですよ。いいなぁ、ベクテルさん……アウラの人は背があるから、そういうの似合いますよね! ……ララフェルはどうしても、カッコイイ系は決まらないんですよ」
「だが、そのファーのついた服は可愛いと思うぞ? ……逆に、俺たちは可愛い服というのが似合わないからな」

 小隊の最古参であるナナソミと、色々な服を試しながらそんな会話を楽しんでいる。

(しまった……服になんて無頓着だから何をしていいのか……自分に似合う服? ……ゼンゼン興味がないぞ……)

 急に賑わう小隊で、一人取り残されたような気持ちのまま手持ちぶさたでいれば。

「エルチ、エルチは武具投影興味ない?」

 不意にシェヴァがその顔をのぞき込んできた。
 金色の目がエルチの姿を捉えたかと思えば、すぐに顔いっぱいの笑顔を見せる。
 まだあどけなさを残した少年のような顔に、白い髪が揺れた。

「あ、興味がないという訳では。ただ普段から自分は無骨な人間なので、このような華やかなものに疎くて」

 急に目の前に現れた愛しい男を前に、ついしどろもどろになる。
 そんなエルチを前にシェヴァは屈託なく笑うのだ。

「だったら、おれが見立てていいかにゃぁ? おれ、エルチに似合いそうな服作ったから!」

 隊長が自分に似合うために服を選んでくれた、というだけで断る理由はない。
 しかも隊長の手作りとなれば尚更だ。

「お、お願いします!」

 二つ返事でOKすれば 「こっちの色がいいかな」「眼鏡のほうがいいかな?」 なんて独り言を呟きつつあっという間に赤いコートを着させられていた。

「これは……」

 ロングコートのわりに胸元は随分と開いている。
 色味の抑えた赤に黒の手袋とブーツ……少し胸元が涼しい気がするが、そこは「武具投影」なのだろう。見た目は自分の肌のようだが、身体は普段の鎧に包まれている風だった。

「うん、やっぱりエルチそういう服似合う! カッコイイよ!」
「そうですか……」
「そうそう! やっぱり背が高くて体格のいい人が着た方がカッコイイね、この服……おれも、お揃いでもってるんだけど」

 と、そこでシェヴァは自分の服を変えてみせる。
 これも武具投影の力なのだろう。さっきまで学士の服を着ていたシェヴァがエルチが着ているロングコートと色違いのものを身につけていた。

「ほら、おれが着るとどうしても。カッコイイって感じじゃなくて……ワイルド感が足りないっていうのかな? ……おかしい? おかしいよね?」

 こちらを上目遣いで眺めて、恥ずかしそうにするシェヴァの姿はエルチが彼に好意を抱いているという事を差し引いても可愛く見えた事だろう。
 自分とそろいの服というのも嬉しいような気恥ずかしいような気持ちになる。
 だがこうして改めて誰かが着ている所を見ると、やはり胸元が開きすぎているような気がする。

「エルチはカッコイイから、身体を見せても似合うよー」

 シェヴァが嬉しそうにしているなら自分はこういう服を着るのもやぶさかではない。
 だが、シェヴァがそういう服を着るのは何とはなしに「嫌」だと思ったのだ。

 ……シェヴァの身体を好奇の目にさらしたくない。
 出来れば、その魅力に誰も気付かないでほしい……。

 それは我欲であるのは充分分かっていた。そういう事を言える立場でも願える仲でもないのもだ。
 だがそれでも。

「……隊長と同じ服を着れるのは嬉しいです。けど……それは、少し胸が開きすぎていて、その……あまり、人前では見せて欲しくありません」

 つい、そう口にする。
 その言葉を、シェヴァは計りかねている様子だった。

「えっ、えっと、この服、だめ? 嫌い? おれとお揃いはいや?」
「その服が嫌いという訳ではないです。そろいで誂えて頂けたのも、光栄です。ですが、隊長のそのような姿を誰かに見られるのは、俺は、好ましくない。と……もちろん、俺の勝手な思いなので……」
「うにゅ……」

 そして少し背伸びをすると、エルチにだけ聞こえるように囁く。

「だったらね。だったら……エルチの前だけなら、この服を着てもいいってこと?」

 突然の事だったから、冷静に考える事は出来なかった。
 ただ。

「えっ。あっ、はい……」

 思いがけない質問に頭が回らず、ついそう返事をすればシェヴァは嬉しそうに笑って見せる。
 そして普段の、学士の姿に戻ると。

「それじゃ、この格好はエルチにだけ見せるね。へへー、二人だけの秘密ー」

 そうして、笑って去っていく。
 その後ろ姿を見送りながら、今した会話を反芻する。

 二人だけの秘密。
 そろいの服。
 そして、自分だけに見せる特別な姿……。

(ひょっとしたら、俺はとんでもない約束を隊長としてしまったんじゃないか……)

 それに気付き急に恥ずかしくなり、改めてシェヴァの姿を探す。
 彼はすでに小隊の仲間とともに笑いながら話す、その笑顔は、エルチに向けていたあのはにかんだ笑顔とは少しちがっているように見えた。
posted by 東吾 at 02:43| FF14