2020年02月13日

勘違いしちゃうオスッテと勘違いされちゃうオスラ

恋バナに敏感な俺小隊ーの話です。
わりと明け透けフリーダムな連中が多いからどうにもこうにも。
にんともにゃんとも恋バナに食いつきがgoodティストなんですにゃ……!

基本的にオスラッテのやきもきする話を書いてる感じですぞ。
どうぞどうぞ。


<登場人物紹介>

・シェヴァ
 自ヒカセン。褐色白髪のオスッテ。
 自由奔放でマイペースな性格。

・エルチ
 小隊の槍術士。青肌青目の金髪内角オスラ。
 シェヴァに一目惚れし、それからずっと恋心を募らせている一途な男

・その他の愉快な仲間たち
 エルチの気持ちに気付いていたりいなかったりしてエルチを弄ったりしているが、小隊は仲良し。

基本的に エルチ → (すき) → シェヴァの認識があればOKだとおもーいまーす!


「勘違いの距離感」

 今日のメニューは基礎鍛錬。
 そう告げられたエルチは自然と同僚のベクテルへ近づいていた。

「おい、ベク。今日の鍛錬はどうする?」
「そうだな……」

 基礎訓練を言い渡された小隊のメンバーは、それぞれ何を訓練するか相談をし同じ訓練をするもの同士で集まって行う事が多い。
 そんな時、エルチは自然と慣れ親しんだベクテルと話すようになっていた。
 それはベクテルとエルチは殆ど同時期に小隊に入った事もあるだろうし、家賃を浮かすという理由で同じ部屋をシェアしている間柄というのもあるだろう。
 元よりアウラという種族が人付き合いが苦手な種族だ。
 アウラ同士で連むようになるのも自然な事だとエルチは思っていた。

 そうして二人で相談しているうちに、ミコッテの女性が小走りで近づいてきた。
 彼女はオア・ネルハー。
 最近入隊したばかりの新人の格闘士で、淡い藤色の髪を短くしたボーイッシュな印象の女性である。
 彼女は暫くエルチとベクテルを見つめると。

「ねぇねぇ、二人はえっちしてるの!?」

 唐突に、そんな事を聞くのだった。

「……は?」

 先に声が出たのはエルチだ。
 ふたりは えっち してるの?
 こんな事、アウラは絶対に聞いたりしないから、予想外の質問に驚きと戸惑いが声になって漏れてしまったのだ。

「ん、今の所そういうのはない……なかったよな、エルチ?」

 一方のベクテルは動じる様子はない。以前からこの手の質問に対してベクテルはアウラにしては耐性が強い方だった。あるいは単純に鈍感なだけかもしれないが。
 ベクテルはエルチの方を見ると、なぜかこちらに確認するように聞く。

「ない! ないないない! ベクテルと、えっ…………そ、そのような肉体の関係を結んだ事は、今の所ない!」
「うん、今後はわからんが今の所はない」
「お前もそんな誤解を招くような事をいうな! こっ、今後もそんな予定はないっ!」
「そうか、残念だな。予定もないそうだ」

 ベクテルの奇妙な質問にエルチは全力で否定する。
 そんな全力の否定を弄ぶようにベクテルは意味深な返答をしていたが、これはベクテルが遊んでいるとか企んでいる、狙っているというのではなくベクテルがそういう奴だというだけの話だ。

「あ、そうなんだー。だったら気を遣わなくていいね! えっちしている人同士って、お互いをお互い所有してるような感じになるでしょ? だから、あたしが割って入ったら悪いかなーと思ったんだけど。ねぇキミ! キミさぁ!」
「俺? 俺はベクテル。よろしくな」
「そ、ベクテル! アタシの訓練に付き合ってよ! キミは素早そうだし早そうだし、アタシと軽く型を合わせてほしいんだ!」
「了解した。だが俺は双剣が獲物だから、徒手とは会わないかもしれんよ」
「いーのいーの、型を確認するだけだから!」

 オア・ネルハーはベクテルの腕をひくと一緒に手合わせを始める。
 その姿を見送り、エルチは驚いたまま力なく椅子に腰掛けた。

「びっくりした……いきなりあんな事言われるなんて……」
「ははっ、ミコッテ族は開放的というか……こういう所にちょっと明け透けな所があるからねェ……」

 隣に座っていたデ・フル・ティアは笑いながらコーヒーを飲む。
 デ・フルもまたミコッテ族であるからオア・ネルハーの言動にはさして驚いた様子は見せてはいないのを見ると、ミコッテ族としては普通のコミュニケーションなのかもしれない。

「……俺には想定外です。シェヴァ隊長だって、デ・フルさんだって普段そんな事言わないじゃないですか」
「俺はもう大人だしね? 隊長は……気を遣ってるんだと思うよ? 隊長ってヒューラン族に育てられたっていうし、自分が開放的な傾向があったとしても、他の種族は違うっての分かってるみたいだからねェ」

 シェヴァはいかにも自由奔放なミコッテに見えるが、エルチの前でそういった類いの話をした事はない。
 だから彼はあまり「そういった事」に興味がないのだろうとエルチは思っていた。いや、そう思おうとしていたのだが。

(やっぱり、俺たちに気を遣って言わないだけでそういうこともしてるよなぁ……)

 エルチは密かにそう思い、シェヴァの姿を浮かべる。
 あの褐色の肌と愛らしい顔で、誰かをベッドに誘う事もあるのだろうか。
 その時はどんな表情で、どんな言葉を紡ぐのだろうか……。

『ね、エルチ……おれと……えっち、してくれる? ……本気で言ってるよ、おれ! ……だから……』

 そんな姿が脳裏に過ぎり、慌ててエルチは首を振る。

(隊長に対して何を考えているんだ俺はっ! ……ダメだろう隊長は、そんな事をしないっ!)

 そんなエルチを前に、デ・フルはカラカラと笑って見せた。

「それにしても、お前さんは随分とベクテルの仲を否定したなァ、必死で可愛い事可愛いこと……何だ、そんなに誤解されるのが困るのか? ……それとも、他に好きな人でもいるのかねェ? 案外この小隊とかにいるのか? どうだ、エルチ?」
「ちっ、ちがっ……違いますっ、俺の好きな人はここにはいない!」

 突然デ・フルにつつかれて、エルチはついそう言葉に出る。
 そう、言葉にしてから自分の失態に気付いた。

「へぇ、ここには……という事は、やっぱりいるんだ? お前さん、どうも身持ちが堅いと思っていたがなるほどねェ〜、誰だい? ほらほら、おじさんに話してごらんって……」
「ちが、ちがっ……」
「えー、何〜? 恋バナならアタシも混ぜてよー」
「エルチに好きな人がいるのか? 俺も知りたいなぁ、応援させてくれよ」

 その声があまりに大きかったからだろう、ベクテルとオア・ネルハーは手をとめてエルチの周囲へと集まってきた。かと思うと、「誰が好きなんだ」とか「気になる人がいるのか」とあれやこれやとつついてくる。
 これは何か言わないと解放されない状態に追い込まれていないだろうか……と、エルチが焦りはじめたその時。

「みんなー、様子見にきたよー!」

 シェヴァが勢いよくドアを開けて現れた。

「あ、シェヴァ隊長」
「隊長、やっほー! いらっしゃーい!」

 エルチに集まっていた視線は一気にシェヴァへと向けられる。
 その時のシェヴァ隊長は聖騎士(ナイト)の姿をしていたが、敵視を集めてくれるとはまさにこういう状態なのだろう。ほっと一息ついてるところで、シェヴァは立ち上がろうとするエルチの手に触れた。

「ど、どうしたんですか、シェヴァ隊長……」

 愛しい人の顔がいきなり近くにある事でエルチは自分の狼狽を顔に出すまいと必死に冷静を装う。
 そんなエルチを前にシェヴァは少し悲しそうに目を伏せて魅せた。

「あ、あの。あのねっ、ちょっと聞こえちゃったんだけど……エルチ、好きな人いるんだね?」
「あっ!? あっ、えっ? あっ、はい……」
「おれも応援するから! 相談があったらいつでも言ってね!」

 シェヴァはそう告げると、悲しそうな顔から一転し明るく笑って見せる。
 輝くような笑顔を前に「貴方ですよ」その言葉が言えないまま、エルチはただ見ているだけしか出来ないでいた
posted by 東吾 at 02:35| FF14