2019年02月19日

私には生きている事が……なヤマアル。

ヤマアルを少しでも供給したい。
そういう気持ちは全くありません、どうも、ただ書きたいものを書いてるだけの人です。(正直)

いやね、人間アレですよ。
「自分が布教したい!」とか……「もっと増やしたい!」みたいなね。
他人の気持ちをどうこうしよう、という目標を立ててもダメですよ。

そういう目標は、増えないと「ダメだ」と思っちゃうじゃないですか。
ダメじゃなくてもね、他人の心を変えようっていうような目標は、自分がキツくなるんですよ。

ただ、「自分のベストのものを書く」創作はそれでいいじゃないですか。
今あるベストの力で、自分の好きなものを書く。
それでいいじゃないですか。

趣味として楽しむのは……やっぱり自分の好きなものを、書きたいだけ書く!
これだと、ぼくは思いますね。

という訳で、今日もヤマアルを書いて健康になろう!
……健康にはならないか、流石に無理かそうか。
「わたしのあした」(side A)

 以前はそんな事、ありませんでした。
 ただ毎日が待ち遠しくて。

 今日こそは、カインハーストへ赴く「招待状」が見つかるのではないか。
 今日こそは汚らわしい血族を殺せるのではないか。

 明日へそんな期待を抱きながら眠り、朝日を浴びればすぐに目覚めて……。
 いや、朝日が昇るより先に目覚めて身支度をはじめ、夕暮れを過ぎてもなお身体を引きずりながらカインハーストへの道を、血族に至る情報を求めて。
 それでも疲れたとは微塵も思わず、明日こそは、明後日こそはと未来に思いを託して眠っていたのです。

 ですが今はどうでしょう。
 毎日、この瞼を開けるのが恐ろしい。

 今日こそ、「それ」が見つかってしまうのではないかと。
 以前はあれほど心待ちにしていたというのに、今は……。

「アルフレート、いつまで寝ているんだい? ……もう朝だぞ」

 私の首を優しく撫で、ヤマムラさんがそう声をかけてくれる。
 本当はとっくに目覚めているけど、目を閉じたまま毛布を被る。

「ん、まだ少し眠たいです」

 そうしてそんな嘘をつく私に、ヤマムラさんは呆れたように一つため息をつくのだ。

「ほら、早くおきろ。朝食もつくっておいたぞ」
「んぅー」
「仕方ない奴だな、ほら!」

 ヤマムラさんはその細い外見とは裏腹に力があり、寝間着姿の私を抱えると窓辺にあるテーブルまで運んで、ちょこんと椅子に座らせるのです。
 テーブルの上には、パンにトマト、レタス、チーズ、目玉焼きにたっぷりのマスタードがのったサンドウィッチにナイフが刺さって置いてあって……それは最近まで、よく寝坊をしていた私がヤマムラさんの為に作っていた朝食そのままでした。

「はは、以前は俺のほうがぐずぐずしていたが、最近は君のほうがすっかりお寝坊さんだな」

 笑顔のままカップにコーヒーを注ぐヤマムラさんに。

「あなたのせいですよ」

 なんて、少し意地悪く言えばヤマムラさんはちょっと困って、そして慌てた素振りを見せた。

「な、に言ってるんだ。昨日は別に……してない! してないよな?」

 その慌てる姿が、私よりずっと年上なのに何だか可愛くて、愛おしくて。

「はは、冗談ですよ、さぁ頂きましょう」

 私はますます、明日が怖くなる。
 明日はもっと、貴方を愛してしまうから。



「俺のあした」(sideB)

 最初はいつでも俺より早く起きていたのいうのに、最近のアルフレートはなかなかベッドから出てこない。
 目は覚めているのだろうが、起きるのが億劫なようにベッドの中で幾度も寝返りするのだ。

 以前だったら夜明け前に置きだし荷物をまとめて、待ちきれないといった様子で食事の準備をしているというのに、今はまるでそう。

 狩りが恐ろしいかのようだ。

 いや、恐ろしいのは「狩り」じゃないのだろう。
 アルフレートはいずれ、自分の使命を終えてしまうのが「怖い」のだ。

 それまで何ら目標を持たず空虚なまま、自分が「人であるのか」すらわからなかった。
 そんなどこか虚(うろ)く、脆く、危うい所があったアルフレートの今の中身が「処刑隊」であり「ローゲリウス師の言葉」である。

 いずれカインハーストの道が開ければ、アルフレートの中からそれらは全て流れて消えてしまうのだろう。

 すると残るのは何だ。
 アルフレートの抜け殻か?

 ……普通ならそう、空っぽになったら新たなものを注げばいい。
 だがアルフレートはきっとそれより「満ち足りた気持ちのまま」で天上の音を聞くのを望むだろう。

 以前のアルフレートなら。
 だが、俺は注いでしまった。

 アルフレートの中に、アルフレートにとっての「異物」を。
 それは愛情というのかもしれないし、恋や恋慕というのかもしれない、憧憬、あるいは家族のような絆……。

 それはきっとそれまでのアルフレートになかったものであり、恐らく彼の「生命」には必用のなかったものだったろう。

 それを、俺が与えてしまった。
 俺は彼を愛し、アルフレートもまた俺を愛している。
 これはうぬぼれではなく、確かな事だろう。互いの気持ちが重なり、交わって溶け合うような気持ちを彼と共有出来ているというのは確かに実感出来る。

 だがそれが、きっとアルフレートを臆病にしてしまったのだろう。
 俺のせいだ。

 俺は、アルフレートより早く目覚めアルフレートが以前してくれたように朝食を作る。
 そして、寝ている……寝たふりをして目を閉じているアルフレートを起こそうと彼に触れた。

 彼の白い首。
 鍛えられたアルフレートの身体は決して華奢ではないが、俺であれば。

 俺であれば、くびり殺せる。

 ……あるいは、その方が幸せじゃないか。
 あるいは。

 俺は首を振り、そんな空想を払う。
 そしてアルフレートの首に手をふれ、精一杯微笑むのだ。

「おはよう、アルフレート」

 ……いずれくる明日のため。
 今日という日を、最良にするために。
posted by 東吾 at 23:49| ブラボ