2019年02月11日

現パロヤマアル、おきものを着るフレートくん。

以前「和装をする姿をヤマムラに見せてはしゃぐアルフレートくん」という絵をみつだ様が描かれていて、こういうSS描いてみたいなぁ……。
そう思い、許可を頂いたのでかかせていただきました!

現パロヤマアル。
何故か二人が同棲しているけど超次元の力でそうなったから気にするな!

みつださん、快く許可していただきありがとうございます!
感謝感謝!
「アルフレートとキモノの秘密」

 それは幾度目の挑戦だっただろうか。

「帯……よし、袴もOKです。ふふ……できたー! やったー!」

 アルフレートは和装になった自分を姿見で確認すると、喜びで何度も飛び跳ねていた。
 日本に憧れ、ヤマムラの家の居候になってどれくらい経つだろう。

 当初は浴衣すらきちんと着られなかったアルフレートだったが、折角日本に来たのだから着物とニンジャの衣装は自分で着られるようになりたいと思い、幾度もヤマムラから着付けを教わった。
 そうして挑戦してはうまくいかず、また挑戦しては失敗して。
 トライ&エラーを繰り返し、今日になって初めて一人で着物を全て、着る事に成功したのだ。

 そうなったら真っ先に見せたい人はただ一人。
 自分を迎え入れてくれた最愛の男性……ヤマムラ、ただ一人だ。

「ヤマムラさん、ヤマムラさぁん!」

 アルフレートは扇子を帯に挟むと、ばたばたと廊下を駆け出した。
 広い旧家を守るヤマムラの家は見事な和風建築で、とにかく広い。

「ヤマムラさん!」

 厨をあければ下ごしらえの施された肉料理があるだけで、ヤマムラの姿はない。

「あ、これ私のすきなやつです!」

 アルフレートはよく煮えた大根を一つつまみ食いすると、今度はヤマムラの部屋に向かう。

「ヤマムラさーん、見てください!」

 だがそこにもいない。
 ただ座布団の上にはヤマムラの飼い猫である「ヨドミ」が心地よく眠っていた。

「いない、ヨドミさん、ヨドミさん。ヤマムラさんは何処ですか?」

 アルフレートがそう聞けば、ヨドミは一つ背伸びをしてから大あくびをすると、ひょいと部屋から出て縁側に向かう。そして庭の中へと消えていった。
 そんなヨドミに導かれるよう庭の見える縁側へと赴けば、紅梅の前にヤマムラがいた。
 シャツの上に半纏をまとっただけ。2月の今には少し寒そうな姿だ。どうやら紅梅の剪定をしているらしい。

 アルフレートには立派な木を何故切るのか理解できなかったが、そうする事でより美しい花が咲くのだとヤマムラは語っていた。

「ミツケタ! ヤマムラさーん、みてください! これ、私はじめてキモノ、全部自分でやれました!」

 生憎下駄や草履はないから縁側からヤマムラを呼ぶ。
 するとヤマムラはすぐにこちらに気付きアルフレートの隣にくると、その姿を見て微笑むのだった。

「すごいな、ちゃんと帯も締められている。袴まできっちり着られるなんて、よく頑張ったな」
「へへー」

 ヤマムラはそう言い、アルフレートの髪をくしゃくしゃと撫でる。
 そうされるのは子供のようで少し恥ずかしくもあったが、ヤマムラの大きな手で頭を撫でられるのはアルフレートをやけに安心させるのだ。

「あぁ、だが少し胸が空きすぎてるな。ここは、もう少しきちんとかくした方がいい」

 だがすぐに空いた胸元に気付いて、ヤマムラはそれを手直しする。
 実の事を言うとアルフレートは、少し自分を見て欲しいから意図して胸元を開けていたのだ。

 ……アルフレートは、ヤマムラの事を愛している。
 ヤマムラも、恐らくそうだろう。
 だがお互いの思いを抱いているものの、そこから上手く進展できない現状に、アルフレートは焦りを感じていた部分があったのだ。

(ヤマムラさんに色仕掛けは通じない……かぁ……でも、早くしないとヤマムラさんみたいな素敵な人、他の男も女もネコも犬もみんなほっとかないんだ……)

 そんな事をぼんやりと考えながら、着物を直されたアルフレートは縁側に腰掛ける。
 一方ヤマムラは。

「うん、やはり和装はきちんとしているほうがいいな。そのほうが見栄えがいいよ、アルフレート」

 そんな事を言いながら、満足そうに笑うのだ。

「んー、でも、わたし……」

 ちょっとでも、触ってほしかった。
 えっちな事をしてほしかったな、とは思うが流石に口には出来ず、ただ俯く。
 そんなアルフレートの傍らに座ると、ヤマムラはふと口角だけを上げて笑ってみせた。同時にアルフレートの背後から、すっと胸元に手が滑り込む。

「ひゃぁっ! や、ヤマムラさっ……」
「和装はきちんとしても、こうして手の入るスペースができるんだ。ふふ、隙だらけの服なんだよ、実はね」

 そしてアルフレートの耳を甘噛みすると。

「……もう一人で着られるなら、多少乱してもいいかな?」

 まるで甘美な毒のような言葉を、アルフレートの脳髄に注ぎ込む。アルフレートは恥ずかしいやら何やら一度に感情がわき上がりすっかり顔を赤くして。

「ああ、ははっ、い、あの、よ、ろし……おてやわらかに。ふつつかものですが!」

 そういいながら三つ指をつく。
 ヤマムラはそんなアルフレートに微笑みながら頬に手を添えると、しずかに口づけを交わした。

 紅梅にはメジロがその蜜を吸うため、羽をやすめにきていた。
posted by 東吾 at 02:49| ブラボ