2019年02月07日

この人は私のものですから。なヤマアル。

アルフレートくんは行為の最中にマーキングをするタイプです。
何故なら、そのほうが……そのほうが可愛いから!

そんな「独占欲の塊」だけどヤマムラさんがあまりに純朴でいい人だから罪悪感も抱いちゃう。
でもヤマムラさんが他の誰かに肌を見せるのは絶対やだ。
万死に値する。断罪してもいい。

そんな事を思っているアルフレートくんと、アルフレくん闇深だけどむちゃくちゃかわいい!
天使ちゃんだよな、と思っている「ヤンデレの病み部分も全部愛しちゃってる系ヤマムラおじさん」の話です。

ヤンデレより深い愛情も、ヤンデレなんだよ。(?)
「傷痕(こんせき)」


「あぁ、ごめんなさい本当に……わたし……」

 アルフレートは幾度も謝罪しながら、ヤマムラの背中へと軟膏を塗る。
 その背中には幾つもの爪痕が残っていた。

 やや浅黒くなったヤマムラの背中は痩躯の思いの外広い。
 その背中の皮があちこちめくれ、うっすらと血が滲んでいる所さえあった。

「いや、気にするな。君に無理をさせているのは俺なんだからな」

 ヤマムラはさして気にする様子もなく笑う。
 その姿を見ながら、アルフレートは丁寧にその傷へ膏薬を塗った。

 普段獣狩りではもっと大きな傷を負うこともあるのだから、この程度の傷は些細な事だろう。
 それでもアルフレートは自分がヤマムラを傷つけてしまった事に、深い罪悪感を抱いていた。

「でも……私、ガマンがきかなくて。その、つい……あなたに縋ってしまうんです。あなたの身体に……」

 そう言いながら自分の耳が赤くなっていくのに、アルフレートは気付いた。

『あぁっ……はぁっ、ぁ……ヤマムラさぁっ、ヤマムラさん、ヤマムラさんっ……』

 いつもより大きく、そして激しく彼を呼び止める声とそして身体を突き抜ける歓喜とが生々しく思い出されたからだ。

 それも仕方ない事だろう、昨日今日の事ではなく、今さっきの事なのだから。
 そう、さっきまでアルフレートはヤマムラに抱かれていた。
 安普請の軋むベッドの上で思う存分快楽を貪り、歓喜の声を上げ続けていたのだ。
 そうして絶頂に至るとき、ついヤマムラの身体にすがりついて、こんな傷痕をつけてしまったのだ。

「気にするな、痛くもないしな」

 そういうとヤマムラは項垂れるアルフレートの方を向きその頭を撫でる。
 その手は見た目と違い大きく肉刺だらけで、いかにも熟練の狩人といった風であった。

 ヤマムラは東洋人特有の童顔さと狩人にしては痩躯の身体である故、どことなく頼りない風貌をしている。
 だがその実、大変な手練れでありその身体は切れるほどに研ぎ澄まされ鍛えられているのだという事を、今のヤーナムで知るのは自分だけしかいない。
 アルフレートはそれを、密かな誇りに思っていた。

「……そろそろ寝るか? 疲れただろう」

 すっかり汚してしまったシーツはすでになく、新しいシーツが張られている。
 この部屋にはベッドが二つあり、二人で寝る必用もなければ今したばかりのベッドで眠る必用もないのだが、それでも二人はいつも自然と同じベッドで眠るようになっていた。
 それはそのベッドのどこかに、二人で確かに重なっていた熱と香りとが残っているような気がするから、というのもあるのだろう。

 ヤマムラは先にベッドに潜り込むと、毛布をあげて。

「おいで」

 と笑う。
 その笑顔に誘われるように、アルフレートはベッドへ入りヤマムラの身体を強く抱いた。

「ふふ、ヤマムラさん優しいから……大好きです。その木訥としたところも、とても素直に私を受け入れてくれるところも……」

 その言葉に、ヤマムラはキスをかえす。
 そして微かに揺れるカンテラに手を伸ばすとそのあかりを吹き消した。

(あぁ、ヤマムラさんは気付いているのでしょうか)

 彼の腕の中で微睡みながら、アルフレートは思う。
 背中に傷をつけるのは、わざとしているのだという事を。他の誰かが見ても「自分のものだ」とわかるように、わざとつけているものなのだ。本当はそんな事しなくても、ただ縋るだけなら抱きつけばそれでいい。

(ですが、誰にもとられたくはないのです。他の誰かの前で貴方の肌を晒して欲しくはない、私だけ、私だけが知ってる秘密であってほしい……こう思ってしまう私はやはり、罪深いのでしょうか……)

 ヤマムラの体温を感じながら、アルフレートは小さく許しを乞う。
 罪深くても、いい。だから今だけ、このヤーナムですごす時間だけでいいから、ヤマムラを自分だけのものにしてほしい。
 それ以外はすべて、処刑隊に捧げてもいいから……。

 アルフレートはヤマムラの身体に縋ると、その温もりに包まれ微睡む。
 微睡みのなか、アルフレートは聞いた。

「……心配しなくても、何処にもいかないさ。君の隣に、俺はある」

 それは夢だったのか、それとも現実だったのかは分からなかったが。

「はい……はい!」

 アルフレートは無意識に頷く。
 ……今夜はよい夢が見れそうだった。
posted by 東吾 at 23:51| ブラボ