2018年07月24日

【彼女はそんな風に笑う娘だった。】

大変だよモンモン! メギド72ってすっごく面白いよ!
……というワケで、メギド72が面白いからメギド72の話を軽率にかこうと思います。

俺の! 推しCPは!
ベリト様×シャックスちゃんです!

共通点は同じゲームに出てる! 同じゲームに出てます!!!
というワケで、シャックスちゃんが旧友のマルファスくんと会って「あー、あの子ってあんなに可愛かったんだなー」とマルファスくんが実感するような話です。
説明ではベリト様無関係のようですが、とても非常にウザいくらいベリト様も出ます。

ベリト様×シャックスちゃんのCPをよろしくね!
あわよくば好きになって!
「そこには知らない彼女がいた」

 ソロモン王の【召喚】を受けるまで、マルファスは一介の学生に過ぎなかった。
 人を寄せ付けず、本の世界に没頭し、いずれくるハルマゲドンを待つ……。

 何かをしなければハルマゲドンは必ず起こると思っていたし、そうなった時にはヴィータの肉体しか持たない自分はただ蹂躙されるだけだろう。
 そんな諦めの気持ちのなか日々を過ごしていたマルファスにとって、メギドラルと戦える力をもつソロモンからの申し出……「一緒に戦ってくれないか」という言葉は力強い希望であったし、自分を追放したメギドラルに対して一矢報いるような心持ちにもなった。

 何より17年という短い歳月の中で、マルファスは「親友」と呼べる存在に出会った。
 ヴィータの残した沢山の書物は知識を埋没させまいと必死の工夫が読み取れ興味深かったし、今はメギドラルの荒廃した世界より緑溢れるヴァイカルトの方によっぽど馴染みがある。

 この世界を守るために命を賭けるというのも悪くない。
 そう思ったマルファスはソロモンの手をとり、ともに戦い抜く事を誓う。

 マルファスはこうして死と隣り合わせの常に緊張感とある世界に……有り体にいうと「シリアスな世界」に身を投じたつもりであったのだが……。
 そのつもりであったのだが……。

「あっ、マルマルだ! マルマルも召喚されたんだね。よかったー、知ってる人が来てくれて、嬉しい嬉しい!」

 脳天気な声が、マルファスの脳髄をかき回す。
 それは学生時代に散々とマルファスを悩ませた声であり、そして「諸事情により旅に出ます」と突然旅に出て二度と聞かなくて済むようになったと思っていた声……学生時代のクラスメイト、シャックスのものだった。

「なんだ、シャックス? 知り合いか」

 シャックスの隣には、見慣れぬ男が立っていた。
 赤いガウンをひっかけた細身だが筋肉質の男で、鋭い目つきからいかにも全うに生きていなかった男のオーラを感じる。
 つけているベルトや装飾品は効果だから金はもっているのだろうが、その金もフェアな取引で儲けた金かは疑わしいような風体の男だった。

 シャックスとともにいるという事は、彼もまた追放メギドの一人なんだろう。
 まともなヴィータだったら近づかないか……金持ち好きな女なら色目を使ういい男だが、滅多に人を近づけないどこか孤独の臭いを感じた。

「うん、リトリト! マルマルは、私の友達友達ぃ! 学生時代に、いーっぱいお世話してあげたんだ、偉い? 偉い?」

 シャックスはそういいながら、隣の男に笑って見せる。
 そこでマルファスはついにガマンの限界といった様子で口を開いた。

「ちょっとまて! ……別にキミと友達になった覚えはない。ただクラスメイトで、たまたま同じ追放メギドだったというだけだろ」
「えー、でも同じ追放メギドなんだし、友達友達!」
「それにキミはお世話してあげたというが、どっちがお世話してたと思うんだ? まったく、毎回毎回赤点ギリギリのキミにノートをかせば帰ってこない。学術書も帰ってこない、貸したペンもインクも、キミに貸したモノは一つだって帰ってこなかったじゃないか! ……それの何処が友達だ、キミはただの疫病神だ!」

 早口でそうまくし立てられ、流石のシャックスもしょんぼりと肩を落とす。

「うえー、疫病神って言われたよぉ、リトリト−」

 その時リトリトと呼ばれた男は、顎に手をあて考えるような素振りを見せながら。

「オレ様はむしろ、お前が学校行ってた事の方が驚きだぜ……学校いっててソレか? ……学校で何を教えてたんだ?」

 かなり真顔でそういった。
 だが、その点に関してはマルファスも全く同意である。

 シャックスは特定の分野、具体的にいえばキノコの生態に関しての知識は飛び抜けているが、日常生活においては3歩も歩けば全て忘れる本物の鳥頭だ。

 マルファスが伝え聞くシャックスの噂だと「不幸を呼ぶメギド」として忌み嫌われ、その「不幸をよぶ特性」を恐れられて追放されたと言っていたが、今のシャックスを目の前にすると「鳥頭すぎて何でも安請け合いした尻ぬぐいを他のメギドがするハメになり、結果として不幸がおこるからではないか」と疑っているし、実際そうだったんだろう。

 学生時代のシャックスはまさに「悪魔的なヴィータ」であり「不幸を呼ぶ鳥頭」だった。
 最もその特性は「メギドらしくはないもの」だろうが……。

「……マルファスという、シャックスから紹介があった通り、王都の学生だ。ハルマゲドンを止めるという話を聞いて力を貸す事にした、よろしく頼む」

 マルファスはともかく、マルファスの隣にいる男とは初対面だ。
 相手がどんな奴だかは知らないが、きちんと礼はしておこう。そう思い恭しく頭を下げれば、男はさも満足したように腰に手をあて笑って見せた。

「おぅ、オレ様に挨拶するたぁちゃんとオレ様の価値を分かってるじゃねぇか。おい、シャックス。お前もすこしはこのガキを見習ってせいぜいオレ様の事を大切にするんだぜ?」
「えー、やだやだ! マルマルのマネなんかしたら、息が詰まっちゃうよー」

 ……マルファスは、下手に礼をつくした自分をすぐに後悔した。
 目の前の男はいかにも派手好きなゴロツキのリーダー格みたいな男だ。しかもシャックスと友達になれる程度の鳥頭だ。きちんと礼をして、きちんとした礼が帰ってくるはずがない。
 下手に関わったらまた不幸の巻き添えを食う。こういう時は早々に距離を置くのが得策だ。  そう思い去ろうとしたマルファスの前に、男は膝をつくとその手をとり。

「オレ様はベリト、最強のメギド様だぜ。せいぜいしっかりその脳みそにオレ様の名前を焼き付けておくんだな」

 そう言って、軽く手の甲に口づけをする。
 いちいち舞踏会でするような挨拶をしてみせたものだから、マルファスは気恥ずかしいやら何やらで思わず手を拭いてしまった。

「何だよテメェ、オレ様のキスは汚いってのか?」
「汚いというかー、いきなりキスされたらやっぱり拭いちゃうと思うよ、リトリト? リトリトって何か挨拶が旧世代なんだもん、おかしいおかしい!」
「うるせぇ! ……オレ様はお前たちよりずーっと以前からヴィータをやってるんだぜ」
「だから知識の上書きができてないんだよー、ちゃんと勉強しないとダメダメ! おじいちゃんだよ、おじいちゃん」
「おじいちゃんっていうなー!」

 思わず手をふくマルファスを見て、シャックスとベリトはそんな口げんかをはじめる。
 どうやら結構「同程度」の二人だからうまくいってるらしいと納得すると同時に、マルファスは自分よりずっと以前に追放された「ベリト」という名のメギドについて記憶を引きずり出していた。

 傲慢で奔放、我がつよく身勝手。
 自分の言う事を聞かない相手にはすぐ蛮行に及び、筋骨隆々とした美しいメギド体を見せびらかすよう力を行使しつづけ、まともに軍団をまとめる事などできず、邪魔に思ったメギドたちから追放の憂き目にあったという、ろくでもないエピソードばかりが残る追放メギドだ。

 記憶にある限り「追放されて当然」といったメギドだが……実際あってみてもそう、これは追放されて当然の「いい性格」をしている。

 最も、今のマルファスも追放メギドなのだから人の事を言えないのだが……。

「何にせよ、オレ様の実力はソロモンも認める程だからな。今のうちにせいぜいオレ様を大事にしておけよ」

 いかにも尊大な口ぶりでそう言うが、ヴィータの身体であるためか。しかもヴィータにしては細身の部類に入る事もあって、何とはなしにハクがついてない気はする。
 マルファスは腕っ節に自身のあるヴィータではなかったが、それでも殴れば勝てそうな気さえするのだった。
 何にせよ、本気で相手にする必用はないだろう。適当に流しておけば良さそうだ。

「わかったわかった、覚えておけばいいんだろ」

 適当にあしらう事に決めたら、存外にベリトは嬉しそうに笑った。
 きっと普段から他のメギドにはあまり相手にされてないんだろう。

「おう! おまえは素直でいいな。ここの連中はオレ様の価値を……」
「ねー、リトリト。一緒にキノコとりにいくんでしょ? 早く行こうよ行こうよー」

 話しに飽きたのか、シャックスはベリトの手をひく。
 その手には大きめのバスケットが握られていた。きっとあのバスケットいっぱいに毒なのか何なのか得体の知れないキノコをいっぱい採ってくるつもりなのだろう。

「あぁ、そうだ……じゃ、いくか」
「やったー、ごーごー!」

 そうして連れ立って歩こうとするベリトを。

「えっ、ちょっとまってくれ」

 思わずマルファスは留めた。

「ん、何だよ。オレ様に、何か用か?」

 訝しげにマルファスを見るベリトに、マルファスはそっと耳打ちをする。

「……その、シャックスは……不幸を呼ぶメギドと言われてるんだ。あぁ、多分ベリトはシャックスがしでかすより前にメギドラルを追放されてたから知らないと思うけど」
「不幸を呼ぶメギドぉ?」
「何か知らないけど、シャックスと一緒にいると崖から落ちそうになったり、頭の上に岩が落ちてきたり、どこからか矢が飛んできたり……まぁ、大体はシャックスが罠を踏んだりするのが原因なんだけど……命が欲しいなら、あんまり彼女の相手をしないほうがいいと思うよ? ……これ、一応元・クラスメイトの忠告だから」
「不幸を呼ぶメギドねぇ」

 ベリトはそう呟き、先に向かうシャックスを見る。
 ベリトがついてきてると思い込んでいるのだろう、その足は森へ真っ直ぐに向かっていた。

「あー、確かにあいつと一緒に行動してると、岩が転がってきたり、突然檻がふってきたり、油のそばで火矢がはなたれたり、色々ヤベー事があったな」
「うぉっ! ……以前にまして不幸が加速してる」
「でも、面白いじゃねーか、そういうのさ。結局オレ様たちは、メギドラルが退屈だからコッチにきた口だろ? ……いや、お前は違うかもしんねーけど。オレ様には刺激があるくらいが丁度いいぜ」

 それによ、といってベリトは遠くを見る。
 その目には、ベリトがついてきてないのに気づき、狼狽えながら、「早く早く」と手を振って笑うシャックスの姿があった。

「……あんな風に笑う女見てさ、何かしてやろうって思うの、案外悪くねぇもんだぜ」

 ベリトはそう言うと、マルファスの肩を軽く叩いて「じゃあな」と走り出す。
 マルファスはそうして二人が森へ向かう姿をただぼんやりと見送っていた。

「……シャックスの奴、あんな風に笑うんだな……こっちの方が長く傍にいたと思ってたけど……全然、気付いてやれなかった」

 自分が気付かなかった笑顔を、ベリトは容易く引き出して見せた。
 その事実に何故か悔しい気持ちを抱いている自分に気が付いて……。

「何で、こんな気持ちにならないといけないんだ……全くっ」

 マルファスは誰に聞かすワケでもなくそう呟くと、ソロモン王たちのいるキャンプへと赴く。
 その日は夏の日差しがつよかったが、森には心地よい風が吹いていた。
posted by 東吾 at 22:42| メギド72系駄文