2018年07月17日

ふとした瞬間にキスするガスヘン

プライベッターに放置していたネタを、ブログにおいておこうかな……。
と思い、特にエロくないやつはブログの方に移動致しましたぁん。

これは比較的初期に書いたガースーとヘーンのBLで、体格差のある二人が軽くキスをする。
ただそれだけだけどちょっと甘酸っぱい感じがあって俺的には気に入ってます。

オッサンに甘酸っぱさを求めてどうしたんだ!
と思っても、ガスヘンBLもたまには書くよ!
「段差」


「ガスコインはやはりタッパがあるな」

 ガスコインと連れ立って歩いていたヘンリックは不意に立ち止まったかと思うと大柄な相棒の顔を見上げながらそんな事を呟いた。

 頭一つ大きい、なんて言葉があるがガスコインの大きさはそんな形容では追いつかない。
 ヘンリックも決して小柄な狩人ではなかったつもりだったが、ガスコインと並んでいる時は大人と子供ほどの体格差があるように見えた。

 ガスコインの大きさに今更ながら感嘆するヘンリックに、ガスコインは声をあげて笑う。

「何だよ、今更みてぇに言うじゃねーか。俺のガタイは昔っからだぜ?」
「まぁそうなんだが……改めて見るとやはり大きいな、と思ってな。それだけ大きいと不便な事はないか? ……いや、大きい事は利点の方が多いか」

 敵と戦うときのリーチ。一歩の歩幅。遠くの気配を探るなど、背が高いという事は狩人として優位になる事が多いだろう。
 大体の場合、身体が大きい事はメリットが多くてもデメリットは少ないものだ。

「そうだな、俺の場合背丈だけじゃなく肩幅もあるもんだから、隠れるのには向かねぇよなぁ」
「あぁ……そうだな、とっさに『かくれろ!』と思っても、おまえが入れる隙間なんて殆どないもんな」
「それと、そうだ……あとは背が高いから……」

 と、そこでガスコインは身体を小さくかがめてヘンリックに視線を合わす。
 ガスコインは盲目でその両目は固く包帯に閉ざされてはいるが、ヘンリックはその下に美しい瞳が隠されているのを知っていた。
 一瞬、その瞳を思い出して戸惑うヘンリックの頬に触れると、ガスコインはヘンリックの堅く閉ざされたマスクの上にそっと優しい口づけをした。

「……何をするんだ、お前は」

 努めて冷静に振る舞っていたつもりだが、ヘンリックの心臓が高鳴る。
 青い目にプラチナブロンド、ガスコインの強面ではあるが逞しさを感じる素顔を知るヘンリックにとって、マスクの上からとはいえ突然の口づけは彼を動揺させるのに充分な効果があった。

 一方のガスコインは、そんなヘンリックの気持ちには気付いてないのだろう。軽い調子で笑うと。

「……お前くらいの背丈が相手じゃ、こんなに背を縮めないとキスもできねぇんだ。なぁ」

 そんな事を言いながら、ヘンリックの閉ざされたマスクを開こうとするかのように、そのヒモを口にくわえる。

「お前、冗談は……」

 困惑するヘンリックを前に、ガスコインはマスクの紐を口にくわえたままそれをするするほどいていく。
 ほどけた紐のせいでヘンリックのマスクがひらりとまくれ上がり、普段は閉ざされたヘンリックの唇が露わとなった。

「全く。あんまり大人をからかうな、ガスコイン。マスクを付け治すのは面倒なんだぞ……」

 ヘンリックはほどけた紐とマスクを手に取ると、まるで悪戯っ子を窘めるように言う。
 するとガスコインはヘンリックの手を掴み、半ば強引に自分の元へと抱き寄せた。

「ガキ扱いはすんなっての……まぁ確かに俺の方が年下だが、ガタイは俺の方がいいし力もある。お前の事なんて、どうにだってできるんだぜ」

 ニヤリと勝ち誇ったように笑うガスコインの手からするりと抜けると、ヘンリックは軽くため息をついた。

「全く、相変わらずおまえは俺がどうとでもなると、そう思っているんだな」

 そうして呆れたように呟くと、ほどけたマスクをポケットにねじ込んで軽い足取りで歩き出す。
 ガスコインよりは小柄だが俊敏なヘンリックはガスコインの後にある長い階段をステップするように歩み始めた。

「おい、何処にいくんだヘンリック」

 急に走り出した相棒に驚きながら、ガスコインは慌てて後を追う。
 そうして階段を上った先……3,4段は先に、ヘンリックはいただろうか。

「おいヘンリック!」

 あとすこしでヘンリックに追いつく。
 そう思い相棒を呼ぶガスコインの唇が、柔らかな唇でふさがれた。

 ……それがヘンリックの唇であるという事に気付いたのは、数秒たった後だったろう。
 自分より小柄なヘンリックがどうして背伸びもせずに、自分の唇にキスができたのだろうか。

 混乱するガスコインだったが、今いる場所が階段なのを思い出し納得する。
 少しだけ階段の上で、振り返りざまにキスをしたのだ。

 ヘンリックは軽い口づけを済ますと。

「いつも俺がお前の思い通りになると思うなよ、ガスコイン」

 そう言ってガスコインの胸を叩いて先に進む。

「……まったく、お前にゃ敵わねぇよ」

 ガスコインは笑いながら、その影を追いかけた。
 互いに高鳴る胸の感触にどこか心地よさを覚えながら。
posted by 東吾 at 00:08| ブラボ