2015年02月18日

【龍騎の芝浦と手塚と。】

龍騎見たら久しぶりに! 書きたくなりました!
芝浦淳ちゃん様と手塚海之です。

・手塚&芝浦みたいな話だよ。
・BLないと思うが如何せんショタコンが書いたからBLっぽいかもなすまん。
・日常パラレルネタだと思ってくだちぃ。

以上の点OKな方だけどうぞ。
何年たっても俺は龍騎が好きだし、芝浦も手塚も大好きだぜ!
「的中必殺」

雑踏は、今日も心地よい音と砂埃をあげている。

黒を基調としたクロスを前に「占い」の看板を掲げて、準備してあるのは水晶玉やペンタグラム。
タロットや手相、ルーン文字にカバラの秘術……。

占い、と名のつく技術であれば一通りは心得ていた「彼」が一番得意としている「占い」は半ば予知のような「予見」であった。

予知夢。
あるいは白昼夢というのだろう。

カードごしに、水晶ごしに、振り子ごしに……その人がたどる運命が「彼」には見えてしまうのだ。

それが手塚海之……。
運命を見通す目を持つが故にそれに抗い、翻弄され……いずれかにして、身を委ねるようになった本人の言葉を借りれば「しがない占い師」である。

そんな手塚は今日も今日とて日当たりのいい公園を自分の場所と借り切って、簡素な占い場を設け客が来るのを待っていた。

通りすがりの女子高生が二人並んで、興味津々といった様子でちらちらとこちらに視線をおくる。
何か占いたい事があるのだろう。
「やってみなよ」「恥ずかしい……」 時々もれ聞こえる声からして、恋愛の善し悪しといった所だろう。

「もう、死ぬ程はずかしいもの……」
今時珍しい長い黒髪の少女から、笑顔とともにそんな言葉が漏れた。

死ぬほど……………。
そう、この世界では愛だの恋だので心を煩わす事が、死にも至る唯一の病なのだ。

平和な事だ、と手塚は思っていた。
だが同時にそれが幸福な事だとも思っていた。

刃を交えて実際に命のやりとりをする……そんな事が現実におこらないという日常が、この上なく幸福な事だと……。

「へぇッ、占いなんて非科学的な事やってるなんて、面白いじゃ〜ん」

物思いに耽る手塚を前に、一人の青年がこしかける。
まだ何処か表情にあどけなさを残すその顔は大人であるが、未だ子どもっぽさが抜けてないような印象をすぐに与える。

「大体さァ、占星術っての? あーいうのも、PCでデータ入力すれば全部出来ちゃう訳でしょ。そのご時世に占いなんてさ、儲かるのかな?」

冷やかしにきたのだろう。

「俺の占いは当たる」

手塚はそう言うと、手にしたカードを軽く並べて1枚捲る。
稲妻により崩れた塔のカードが、その手のなかに納まっているのを見て彼は僅かに表情を崩していた。

「で、そのあたる占い、いくら払えばいいのさ? ……俺の運勢っての。見てもらえるんだよねーっ?」

子どものような無邪気な笑みで、だが内に秘めた見下すような気持ちは隠そうともせずに男はそう語る。最初から時間つぶしの冷やかしだったようだが、どうやら金はあるようで惜しげもなく札束を前払いにと払って見せた。

「で、で、占いっての俺初めてなんだけどさぁ。何がいるんだよ? 名前? 生年月日? ……俺、芝浦淳っていうんだけどさぁ」

しばうら、じゅん。
その名が何故か手塚の記憶をくすぐる。

何処かであった事のあるような気がしたが、すぐに彼が「芝浦グループの御曹司」である事に思い至り、きっと新聞で見た名なのだろうと思い直す。そして手早くカードを切ると。

「何もいらない。座って、顔を見せてくれ……」

静かで落ち着いた、だが有無を言わせぬ気迫のこもった声で眼前にいる青年に語りかける。
その威圧的な。だがどこか神秘的な雰囲気に流石の芝浦も気圧されしたのか。

「あ、あぁ……」
僅かに頷き素直に椅子へとこしかけて、慣れた様子でカードを手繰る男の手を眺めていた。

男がそうしてカードをまぜ、並び替え、そして一度「ふぅん」と唸る。

「ど、どうしたってんだよ。黙ってるとかさァ……そーいう脅すような真似するんだ。ふぅーん」

芝浦、と名乗った男は強がって挑発するような真似をするが、声がうわずっている事から心許ないのだろう。手塚は微かに笑うと自らの唇にその指先で触れた。

「良くはない、な。近いうちに事故にあう」
「マジかよ。って、そういって高いツボとかうっちゃうパターン? ……詐欺だぜ、そういうの」

元より占い、はあまり信じてないのだろう。
あからさまに悪い話をしはじめた事で、芝浦の視線は一気に胡散臭いものを見るそれにかわる。
だが手塚は、もうそんな視線には慣れきっている……といった様子で手を広げると。

「だが大丈夫だ、お前は事故にあわない。心配する事はないさ」

ただそうとだけ告げたのだった。
芝浦はしばらく座って彼を見ていたが、それ以上手塚が何もいわないので「これで終わりだ」と認識したのだろう。左の頬だけ膨らませるぞ。

「ふ〜ん、占いってそういう事するんだ。思ったよりアナログだけど、ちょっとは楽しめたかな。じゃ、これ」

といって、さらに一枚紙幣を置いていった。
金銭感覚、というのにはとかく疎いのだろう。芝浦がおいていった金額は普段手塚が提示しているものの倍以上だったが、それを伝えるより先に彼はもう公園の出口へと消えていたのだ。

「……仕方ない。今日の分としては充分だし、それに」

俺の占いは当たるから。
唇だけでそう呟いて、手塚はゆるゆると立ち上がる。さっきまでこちらの様子を伺っていた女子高生たちも、もう何処かへ消えていた。





占いの椅子に座ったのは他でもない。
ホテルで行われるパーティまで時間が少しあったからだ。

芝浦は、最近時間があると街にむかい気になった店や人などにとにかく話しかける事にしていた。

子どもの頃から金に不自由したことはなかった。
頭も決して悪くなく、勉強も運動も人並み以上にはこなしてきたつもりだ。
上流の人間たちは横の顔がある。

そういった教育のためか、芝浦は自分でも酷く幼く、そして世間知らずな事をどこか実感していたのだ。

だからではないが、最近はよく街に出ていた。
自動改札機の使い方にもなれたし、カードが使えない店で食事する事も増えた。

その日は占い師をからかった後、パーティが始まるまでゲームセンターで時間を潰していた。
格闘ゲームやSTG、ガンシューティングに音ゲー……。
一通りのゲームをプレイし終えた頃は、もうすでにパーティの時間を過ぎていた。

「あっ、まっずいな……また高見沢さんに嫌味言われるよ。コレ」

彼は慌てて駆け出すと、目的地のホテルを目指す。
自分の遅刻はしょっちゅうだが、流石に父母は怒るだろう……。

そんな焦りがあったからか。
「危ない!」誰かのそんな声に気付いた時、すでにかれの眼前には蛇行した車が向かってくる最中だった。

近いうちに、事故にあう……。
昼の占い師が言葉を思い出す。あの時占い師は、他に何といってたか。他に何と……。

「マジかよっ……嘘だろ」

これで、終わりとか。
そう思った刹那、彼の背後から勢いよく誰かが手を引く感覚があった。

それから、轟音。
気付いた時、向かっていた車は電柱へとぶつかりすっかりひしゃげ、白煙をもうもうとたてているのが見えた。

身体に痛みはない、無事だったのだ。
だが心は幾分も衝撃を受けたのだろう、芝浦は無意識にその場へと座り込んでいた。

「あ、あは……は」

力無く笑う彼の頭上で「言ったろう、俺の占いはあたる、ってな」聞き覚えのある声がする。
見れば今日あったあの占い師が、穏やかな笑みを浮かべて彼の傍へ立つ姿が見えた。

「あ、お前は占い師!」
「手塚……海之だ。芝浦淳。どうだ、言った通りだろう。事故には出くわすが、事故にはあわない。俺が、いるからな」

それは運命なのか、それとも偶然なのか芝浦にはわからなかった。
だが何とはなしに彼が自分を気にかけてくれたこと、そして助けるために姿を見せた事は人の気持ちに鈍感な芝浦でも察する事が出来たから。

「あ、そっか……へへー、ありがとな、手塚」

自然と出た言葉は「ありがとう」だった。
何故だろう、こんな自然に「ありがとう」を言えるのは、酷く久しぶりな気がしたのは……。

「で、ありがとうついでに悪いんだけど。えーと、手塚海之?」
「ん、何だ」
「……俺さぁ、腰抜けちゃって歩けないみたいで。急ぎの用あるんだよ! ……支えて連れてってもらえないか。なぁ!?」

突然の提案に、手塚は少し驚いたような顔を見せる。だが。

「……いいだろう」

何故かその何げない日常が、とても尊い気がしたから。
手塚はさして嫌な顔をせず、足を引きずる芝浦に肩を貸すと二人並んで歩き出した。

それは、運命か。
それとも偶然か……。

かつてお互い牙をむいた者たちは、今はその闘志をおさめ二人並んで外灯のした、黒い影を伸ばしていた。
posted by 東吾 at 05:45| 龍騎とか