2019年09月19日

のどごしさわやかなヨシュアス。(FE聖魔ネタだよ)(BLだよ)

久しぶりにヨシュアスを書きました。
どんなヨシュアスを読みたいかアンケートをとったら、深夜の気まぐれ1時間投票だったにもかかわらず5人も投票してくれた結果「甘いやつ」だったので、甘い雰囲気で……。

雰囲気になってたらいいなぁ……。
という訳でこれはちづハムさんのお誕生日おめでとうプレゼントでし。た!
ちづハムさんが喜んでくれれば僥倖ですが、特にちづハムさんからのコメントはいりません。

うけとれこのー!(ぶん投げ)
以前もこういうネタなかった? という意見はぼくちょっと聞こえませんね……。
「グラスの中身と同じ味」

 気が付いた時、アスレイは柔らかな寝台の上にいた。

 最後に見たのは蒼い空と、照りつける太陽。
 流れる汗にも気付かずただ懸命に、傷ついたものたちを癒しているうち膝をついた所までは覚えていたが、そこからは何も覚えていない。

 きっと、無理がたたって倒れてしまったのだろう。
 元より涼しい森の中にある集落で生まれ育ったアスレイにとって、この土地の太陽はあまりに眩しすぎた。
 こまめに水分をとって、冷たいタオルを首にまいておくようにヨシュアから念を押されていたのだが、負傷者などを前にするとつい、無理をしてしまうのだ。

 それで癒やし手である自分が倒れてしまっては意味がないのだが……。


 開け放たれた窓からは、心地よい風がそよぐ。
 窓辺におかれた花からは淡く甘い香りがした。見た事もない花だが、心安らぐ香りだ。
 普段であればもっと彩りのある花が飾ってあるのだが、アスレイが倒れたのを気遣って優しい香りのする花を選んで活けてくれたのだろう。

 ヨシュアは粗忽に見えて細かい所に気が付く男だった。
 そういう点で「手慣れている」あたりは、アスレイよりよっぽど気が回るといえよう。

(私は、またヨシュアさんに迷惑をかけてしまったみたいです……)

 ベッドに身を預ければ、柔らかな枕がに頭が沈む。
 それからそよぐ風に肌を撫でられ、またうとうとしはじめた頃だったろう。

「気付いたのか、アスレイ。身体は大丈夫か?」

 ヨシュアの声がし、アスレイは慌てて飛び起きる。
 そしてベッドの上にきちんと座ると。

「す、すいませんヨシュアさん。わたし、また倒れてしまって。ご迷惑をおかけして、あの、本当にすいませんでした!」

 早口でそうまくし立てるのだった。
 それを見て、ヨシュアは少し苦笑する。そしてサイドテーブルに置かれた水差しを手にとると中の液体をコップに注いでアスレイに手渡した。

「迷惑なんてかけてねぇだろ。少し頑張りすぎただけだからな……ま、とりあえず飲めよ。水、大事だからな」
「は、はい……」

 アスレイは頷いて、コップの水を飲む。
 そしてすぐにそれが、ただの水でない事に気が付いた。

 少し飲めば、喉の奥で弾けるような感覚がある。
 甘くまろやかな果実と蜂蜜の味が口いっぱいに広がった後、清々しいミントの香りがぬけていく。

「これは……果実のお水、ですか」

 体感したことのない味に困惑すると、ヨシュアは微かに笑って言った。

「ソーダ水の中に、林檎をたっぷりいれて、レモンの汁と蜂蜜を溶かした飲み物だ。ミントをふんだんに入れてな。冷やして、うちの修道院なんかではこんな熱い日によく飲まれているもんだぜ」
「ソーダ水……ですか?」
「飲むと口の中で弾けるような感じがあるだろう? 山の中に泡が弾ける水の出る場所があってな、そこからもってきたんだ。普通の水より口の中がサッパリするから、修道院では好評だぜ。酒みたいに酔わないしな」

 そんな話をしている合間に、アスレイはグラスの水を飲みきってしまう。
 名残惜しそうに空のグラスを見て居れば、ヨシュアはそれを受け取って二杯目をくれた。

「あ、ありがとうございます……!」
「欲しいならおかわり、って言えばいいんだぜ?」
「あ、あの。卑しいかな、と思いまして……」
「お前の働きからすると、ささやかすぎるくらいだぜ。遠慮なんかするな、余らせてもいずれソーダ水は炭酸がぬけて、ただの水になってしまうからな」

 それなら、と二杯目のソーダ水を口にする。
 ほのかな刺激と甘酸っぱい味が広がり、身体の熱が下がっていくようだった。
 慣れない炭酸の刺激と果物の甘さからつい飲み干してしまいそうになるアスレイのグラスをヨシュアは不意にとりあげた。

「あ、何するんですかヨシュアさん……」
「いや、そんなに嬉しそうに飲むなんて、どんな味がするんだろうと思ってな……」
「飲んだ事、ないんですか」
「あぁ。これは専ら、酒を飲まない修道士が酒の代わりに飲むもんだからな……俺は酒の方を楽しむから、飲んだ事なかったんだ。どれ、どんな味だ」

 そういいながらグラスを煽ろうとする、その姿を見て。

「あっ、わ、私が口をつけたものを、そんな……」

 アスレイは赤面する。
 自分が飲んだグラスをそのままヨシュアが使うことが、酷く気恥ずかしかったからだ。

 そんなアスレイを見て、ヨシュアはくすぐったそうに笑って見せる。
 そしてアスレイが座るベッドの隣に腰掛けると。

「今更、何言ってるんだよ」

 そう囁いて、唇を重ねた。
 淡いハチミツの味とミントの香りとがまだ口に残っており、重ねた唇と舌とからそれらが伝わり、いつもと違うキスの匂いにより鼓動が高まっていく。
 甘い、甘いキスが続きその蜜の音だけが寝室の中に暫く響いた。

「……ん、アスレイ」
「はい、ヨシュアさん……」

 唇を離せば、その唾液が名残惜しそうに糸を引く。
 互いの頬が赤らんでいるのは目に見えて明らかだったが、かといって熱情に身を任せるような気持ちではない。

 ただそっと手を握り、互いに微笑み見つめ合う。

「……迷惑なんていうな、アスレイ。俺には、お前が必用だ。こうしている時間も俺にとって、何にも代えがたい時間だからな」
「はい、ヨシュアさん……私も。私も、です……貴方は、何ものにも代えがたい私の……」

 言葉にする前に、自然と唇が触れあう。
 何事にも代えがたい恋人たちが静かに唇を重ね、その手を握りしめる最中、置かれたコップは結露に濡れ一筋の雫が零れるのだった。
posted by 東吾 at 15:53| 妄想系ネタ駄文